MBO事例|サカイオーベックスのデットMBO(みずほ・福井銀行)

MBO事例|サカイオーベックスのデットMBO(みずほ・福井銀行)

MBO事例|サカイオーベックスのデットMBO(みずほ・福井銀行)

2021年7月27日、東証1部上場のサカイオーベックスは、MBOによる非公開化を発表しました。同社は、今年2月から3月にかけて同様のMBOによる非公開化を試みましたが、十分な株式の応募を得られず、成立に至りませんでした。今次、改めてMBOによる非公開化を目指すものです。

当該MBOは、みずほ銀行・福井銀行・みずほ事業承継ファンドからの借入及び優先株式により株式取得資金を調達するデットMBOの一種です。

サカイオーベックスは、1891年創業の福井県福井市所在の染色加工・繊維販売などを営む会社です。

本記事では、以下のテーマに沿って、本事例について検討します。なお、本記事は公開情報に基づいて作成しているため、実際の案件の内容とは異なる可能性がある点、ご留意ください。

  • 関係者
  • 非公開化の背景・目的
  • 非公開化後の経営方針
  • スキーム

また、MBOによる非公開化の全般的な理解を深めたい方やデットMBOについて詳しく知りたい方は、こちらも記事もご参照ください。

▽関連記事:MBOによる非公開化とは|概要・スキーム・事例
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関係者

サカイオーベックスのデットMBO(みずほ・福井銀行)の関係者

本件の関係者は、こちらの通りです。

  • 実質的な買い手
    サカイオーベックスの松木社長
  • 形式的な買い手
    サカイオーベックスの松木社長が設立した買収用特別目的会社であるサカイ繊維(松木社長が100%出資)
  • 売り手
    主要株主及び一般株主。
    主要株主の一部は、サカイ繊維との間で公開買付応募契約を締結しているとのことです。
    また筆頭株主であるシティインデックスイレブンス(株式保有割合8.33%)は、サカイ繊維との間で公開買付不応募契約を締結しているとのことです。(詳細は後述のスキームで説明)
  • 取引対象
    サカイオーベックスの株式
  • 対象会社
    サカイオーベックス
  • ファイナンサー
    みずほ銀行(融資153.6億円)、みずほ事業承継ファンド(優先株式10億円)、福井銀行(融資50億円、優先株式10億円)

非公開化の背景・目的

サカイオーベックスのデットMBO(みずほ・福井銀行)の背景・目的

非公開化の背景・目的について、「外部環境」「対象会社の状況」「非公開化の必要性」の3つの観点から整理していきます。

  • 外部環境
    • 染色整理・繊維業界の見通し悪化
      衣料品市場の低迷や安価な輸入製品の増加、少子高齢化やコロナ禍の影響により国内市場は縮小傾向にあります。
  • 対象会社の状況
    • 事業構造改革の必要性
      現在の主力である染色加工・繊維販売事業の低迷から、制御機器事業を主力事業に成長させる必要があります。
  • 非公開化の必要性
    • 事業構造改革に伴う短期的な業績悪化のリスク
      事業構造改革の実施は、中長期的な企業価値の向上には資するものの、短期的には業績が悪化し、株価の低迷につながるリスクがあります。
    • 上場維持コストの増加
      有価証券報告書などの継続的な情報開示や株主総会の運営などの事務費用は増加傾向にあります。
    • 上場維持の必要性の低下
      間接金融の低金利環境や大規模なエクイティ・ファイナンスの必要性の低下から、上場を維持する必要性が低下しています。

非公開化後の経営方針

サカイオーベックスのデットMBO(みずほ・福井銀行)の非公開化後の経営方針

また、非公開化後の経営方針について、「全般」「売上高増加」「コスト削減」の3つに整理します。

  • 全般
    • 事業構造の改革
      主力事業である染色加工・繊維販売事業から、制御機器事業への事業構造の転換を図ります。
    • 染色加工・繊維販売事業の研究開発の促進
      SDGsに対応した設備の導入も含めた研究開発を促進し、高い技術力を維持する必要があります。
    • 制御機器事業におけるM&A等による成長促進
      制御機器事業を主力事業として育成すべく、M&A等によるシナジー発現を通じた成長の促進を図ります。
    • 積極的な人材育成と採用への投資
      社内の教育・人事制度を刷新し、積極的な採用戦略を採り、営業人材や電気系・機械系人材の確保を図ります。
  • 売上高増加
    • 染色加工・繊維販売事業の販路拡大と新規海外生産・調達拠点の設置
      国内市場が縮小傾向にある中、海外販路の拡大は急務であり、現地企業のM&Aも含んだ抜本的な販売力強化策の実施が必要です。
    • 繊維販売事業におけるPBブランドの販売促進
      コロナ禍でOEM製造の需要が減少している中、自社ブランドの認知向上や売上高増加を図ります。
  • コスト削減
    • (特になし)

スキーム

サカイオーベックスのデットMBO(みずほ・福井銀行)スキーム

本件のスキームは、以下の7つのステップから構成されています。

  • ステップ1. 買収用目的会社の設立
    対象会社の松木社長は、公開買付者となる買収用特別目的会社であるサカイ繊維を設立します。
  • ステップ2. 応募契約・不応募契約
    公開買付者であるサカイ繊維は、対象会社の一部の主要株主と公開買付応募契約を締結します。
    また、筆頭株主であるシティインデックスイレブンスと不応募契約を締結します。
  • ステップ3. 株式公開買付(TOB)
    公開買付者であるサカイ繊維は、一般株主に対し、株式公開買付(TOB)を実施します。
    公開買付価格は1株3,810円(前日終値に25.54%のプレミアムを加えた価格)であり、買付総額は約216億円です。
  • ステップ4. 買収資金調達及び株式取得
    TOBの成立に伴い、公開買付者であるサカイ繊維は、ファイナンサーであるみずほ銀行(融資153.6億円)・福井銀行(融資50億円・優先株式10億円)・みずほ事業承継ファンド(優先株式10億円)からの借入及び優先株式により223.6億円を上限とした資金調達を行い、株式を取得します。
  • ステップ5. スクイーズアウト
    TOBにより、サカイ繊維及びシティインデックスイレブンスの合計で3分の2以上の株式を取得した場合、公開買付に応じなかった少数株主に対しスクイーズアウトを実施します。
    スクイーズアウトにより、サカイ繊維及びシティインデックスイレブンスの2者が株主となる予定とのことです。
    なお、本事例では、株式併合によりスクイーズアウトが実現される予定とのことです。
  • ステップ6. 非公開化
    以上の一連の手続により、サカイオーベックスの非公開化が実現されます。なお、サカイ繊維とサカイオーベックスの合併は予定されていないとのことです。

まとめ

以上、今回はサカイオーベックスのデットMBOによる非公開化について取り上げました。

また、MBOによる非公開化の全般的な理解を深めたい方やデットMBOについて詳しく知りたい方は、こちらも記事もご参照ください。

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