PEファンドのM&A|CLSAによる千趣会子会社への投資案件

PEファンドのM&A|CLSAによる千趣会子会社への投資案件

PEファンドのM&A|CLSAによる千趣会子会社への投資案件

今週(2021/3/22〜26)のPEファンドによるM&Aニュース

2021年3月22日(月)から3月26日(金)までの1週間に公表されたプライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)による主なM&A案件は、以下の通りです。

公表日買い手対象会社売り手備考
3月22日アイ・シグマ・
キャピタル
ツバキスタイル
及び椿化工
3月23日CLSAキャピタル
パートナーズ
千趣会子会社2社千趣会
3月25日ブラックストーン都ホテル等8ホテル近鉄グループ
ホールディングス

今週は、PEファンドによる投資3件が公表されています。

個別案件の概要

各案件の概要は、以下の通りです。

なお、以下の内容は公開情報に基づき作成しているため、実際のスキームとは異なる可能性もある点、ご了承ください。

アイ・シグマ・キャピタルによるツバキスタイル及び椿化工への投資案件

アイ・シグマ・キャピタルは、2000年に設立されたプライベートエクイティファンド運営会社です。総合商社の丸紅の100%子会社であり、これまでに3つのバイアウトファンドを運営し、14件の投資実績を有しています。

ツバキスタイル及び椿化工は、ブロー成型による化粧品・トイレタリー向けプラスチック製容器の製造を手掛けています。

現代表らの株主からの株式譲渡であるため、事業承継案件ではないかと推察されます。

CLSAキャピタルパートナーズによる千趣会子会社2社への投資案件

こちらの事例については、以下で詳細に検討します。

ブラックストーンによる都ホテル等8ホテルへの投資案件

ブラックストーンは、米国の大手オルタナティブ投資会社の1社で、日本でも従前より不動産投資を行っていましたが、2019年以降本格的にPE投資に参入しています。

一方、近鉄グループホールディングスは、現在国内外24ホテル、約6,200 室を展開する国内有数規模のホテルグループですが、今般のコロナウイルス感染症による影響から、ホテル事業の構造改革を実施・検討しているとのことです。

そのような中、都ホテル京都八条などのホテル8物件をブラックストーンに譲渡するとのことです。なお、ホテル運営は引き続き近鉄グループで受託するとのことです

なお、PEファンドそのものについての理解を深めたい方は、こちらの資料や動画もご参照ください。

▽関連資料:ファンドガイドブック

▽関連動画

なお、本動画の内容はこちらの動画でもご覧いただけます。

投資事例:CLSAによる千趣会子会社への投資案件

投資事例:CLSAによる千趣会子会社への投資案件

今週3月23日(火)、CLSA キャピタルパートナーズから「株式会社ディアーズ・ブレインおよび株式会社プラネットワークが株式会社千趣会の全面的なサポートのもと、Sunrise Capital IV と組み新たなチャレンジに挑む」というリリースが出されました。

同日、千趣会からも「連結子会社の異動(株式譲渡)及び業績予想の修正に関するお知らせ」というリリースが出されています。

CLSAキャピタルパートナーズは、1995年の設立された、香港に本社を構えるアジアの金融グループであるCLSAの資産運用部門です。2006年、CLSAキャピタルパートナーズがアドバイザーを務め、日本の中堅・中小企業への投資に特化したプライベートエクイティファンドであるサンライズ・キャピタルが設立されました。なお現在、汐留パートナーズとしてCLSAから独立する方向で進行中とのことです。

CLSAキャピタルパートナーズについて詳しく知りたい方は、こちらの書籍もご参照ください。

▽関連書籍:

一方、千趣会は、1955年に設立され、通販カタログのベルメゾンやオンラインショップのベルメゾンネットの他、ウェディング、化粧品など、主に女性を対象とした事業を手がけています。今回対象となった千趣会の100%子会社であるディアーズ・ブレイン及びプラネットワークは、ハウスウェディングを主体とするブライダル事業を展開しています。

本件は、CLSAキャピタルパートナーズが千趣会の100%子会社であるディアーズ・ブレイン及びプラネットワークの全株式を取得するカーブアウト型の案件です。

それでは、次の各テーマに沿って、本投資事例の概要につき検討していきましょう。

  • 関係者
  • 背景・目的
  • スキーム

なお、以下の内容は公開情報に基づくものであり、一部推測に基づいて作成している部分もあるため、実際のケースとは異なる可能性もある点、ご了承ください。

関係者

投資事例:CLSAによる千趣会子会社への投資案件の関係者

まず、関係者についてです。

本件における主な関係者は、次の通りです。

  • 実質的な買い手
    CLSAキャピタルパートナーズ(正確には同社の運営ファンド)
  • 形式的な買い手
    CLSAキャピタルパートナーズ(正確には同社の運営ファンド)が設立した買収用特別目的会社(SPC)であるディアーズ・ブレインホールディングス
  • 売り手
    千趣会
  • 取引対象
    ディアーズ・ブレイン及びプラネットワークの全株式
  • 対象会社
    ディアーズ・ブレイン及びプラネットワーク

なお、LBOファイナンスが利用されている場合、ファイナンサーとしてLBOレンダーが登場しますが、本件ではその存在が明記されていないため、省略します。

以上が、本件の主な関係者です。

背景・目的

投資事例:CLSAによる千趣会子会社への投資案件の背景・目的

続いて、本件取引の背景・目的についてです。

ここでは、売り手である千趣会と買い手であるCLSAキャピタルパートナーズに分けて検討します。

売り手側の背景・目的

まず、売り手である千趣会として、主に次の3点が挙げられます。

  • 事業構造改革の必要性
    新型コロナウイルス感染症拡大による経済環境の不安定さへの対策や、当社グループの再成長に向けた取り組み
  • 通信販売事業への経営資源の集中投下
    通信販売事業をコア事業と位置づけ、経営資源を集中的に投下するとの判断
  • 財務基盤の強化
    ウィズコロナ・ポストコロナ社会に向け消費者の生活様式の変化やニーズの変化に対応して事業再構築を行う必要があり、今後の発展に向けて新規出店等の投資も必要。また、緊急事態宣言の解除やワクチン接種の開始等のプラス材料はあるものの未だ予断を許さない状況であるため、財務基盤の強化が必要と判断

買い手側の背景・目的

次に、買い手であるCLSAキャピタルパートナーズとして、次の2点が挙げられます。

  • 対象会社の強み
    • 自社の勝ちパターンを踏まえた出店エリア選定・全施設異なるデザイン展開
    • 高い成約率を実現するプランナーの提案力
    • DXを活用した集客・広告戦略
  • コロナ後の事業拡大を見据えた成長戦略
    • IT 機能の強化や管理・企画機能の拡充
    • 日本のみならず「ALL ASIA」の視点での事業展開を企図
    • 千趣会の主力事業である通販事業とのコラボレーションの強化

このような両者の意向がマッチし、今回の案件につながりました。

スキーム

投資事例:CLSAによる千趣会子会社への投資案件のスキーム

続いて、本件取引のスキームについてです。

本件取引のスキームは、次の4つのステップから構成されます。

  • ステップ1. 買収用特別目的会社(SPC)の設立
    実質的な買い手であるCLSAキャピタルパートナーズは、買収用特別目的会社(SPC)として、ディアーズ・ブレインホールディングスを設立します。
  • ステップ2. 株式譲渡
    売り手である千趣会は、買い手であるディアーズ・ブレインホールディングスに対し、株式を譲渡します。
    買い手であるディアーズ・ブレインホールディングスは、売り手に対し、株式の対価を支払います。
  • ステップ3. DBHD経営陣への株式譲渡
    ディアーズ・ブレインホールディングスは、同社の経営陣に対し、一部の株式を譲渡し、その対価を受け取ります。
  • ステップ4. 千趣会による再出資
    千趣会は、ディアーズ・ブレインホールディングスに5%程度の出資を行い、業務の協業を継続します。

まとめ

以上、今回はCLSAキャピタルパートナーズによる千趣会子会社2社への投資事例をピックアップしました。

SOGOTCHA(ソガッチャ)では、毎週PEファンドが関わるM&A事例をピックアップしていきますので、ぜひご覧ください。

なお、日本で活動するバイアウトファンド・メザニンファンドについて具体的に知りたい方は、こちらの資料をご参照ください。

▽関連資料:ファンドガイドブック

毎週のニュースをご覧頂くと分かる通り、PEファンドは頻繁にM&Aを行っています。このため、あなたも急にPEファンドと関わることになるかもしれません。

例えば、

  • PEファンドの投資先について、自社に買収検討の打診があった。
  • 自社のノンコア部門について、PEファンドから買収検討の打診があった。
  • 自社のオーナーが、PEファンドへの会社の売却を検討しているらしい。
  • 今度、PEファンドのExit案件のアドバイザリーをすることになった。
  • 銀行から、成長資金の調達先としてPEファンドの紹介を受けることになった。

そのような場面で、もしご自身の横に立って一緒に交渉や検討を進めてくれるパートナーが必要と思われたなら、弊社までお問い合わせください。

弊社は、手の届くM&AアドバイザリーとしてSOGOTCHA MOA(ソガッチャモア)というM&Aアドバイザリーサービスを提供しています。

気になることがございましたら、ご遠慮なくご連絡ください。

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