PEファンドのM&A|日本投資ファンドによる雨宮HDへの投資

PEファンドのM&A|日本投資ファンドによる雨宮HDへの投資

PEファンドのM&A|日本投資ファンドによる雨宮HDへの投資

2021年1月18日(月)から22日(金)までに公表されたプライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)による主なM&A案件は、以下の通りです。

公表日買い手対象会社売り手備考
1月20日日本投資ファンド雨宮ホールディングス
1月22日CVCキャピタル資生堂パーソナルケア事業資生堂正式決定前

今週は、PEファンドによる投資2件が公表されています。

今回は、こちらの日本投資ファンドによる雨宮ホールディングスへの投資事例につき、内容を検討します。

なお、以下の情報は公開情報に基づき作成しているため、実際のスキームとは異なる可能性もある点、ご了承ください。

また、PEファンドそのものについての理解を深めたい方は、こちらの資料もご参照ください。

▽関連資料:ファンドガイドブック

なお、本記事の内容はこちらの動画でもご覧いただけます。

投資事例:日本投資ファンドによる雨宮ホールディングスへの投資

日本投資ファンドによる雨宮ホールディングスへの投資

1月20日(水)、日本投資ファンドより「株式会社雨宮ホールディングスとの資本提携について」とのリリースが出されました。

株式会社日本投資ファンドは、株式会社日本投資ファンドは、2018年設立のPEファンド運営会社です。J-FUN(ジェイ・ファン)とも呼ばれます。株式会社日本M&Aセンターと株式会社日本政策投資銀行(DBJ)により共同で設立されました。親会社2社に加え、地方銀行との連携にも強みを有しています。

一方、株式会社雨宮ホールディングスは、事業を営む株式会社雨宮の持株会社と目されます。事業会社である雨宮は白蟻の駆除・予防や衛生環境工事などの住宅関連サービスを営んでおり、1968年の創業以降、50年以上の業歴を有しています。

本件は、雨宮の既存事業の強化や他エリアへの進出、周辺事業への展開による成長などを目指し、日本投資ファンドとの戦略的資本提携に至ったものとのことです。

なお、本件は日本投資ファンドの1号ファンドの5つ目の投資案件です(公開情報ベース)。

それでは、次の各テーマに沿って、本投資事例の概要につき検討していきましょう。

  • 関係者
  • 目的・背景
  • スキーム

なお、以下の内容は公開情報に基づくものであり、一部推測に基づいて作成している部分もあるため、実際のケースとは異なる可能性もある点、ご了承ください。

関係者

日本投資ファンドによる雨宮ホールディングスの投資事例:関係者

情報が限定的ではありますが、公開情報に基づくと、次のような関係者の構成ではないかと推察されます。

  • 売り手
    雨宮ホールディングスの株主
  • 買い手
    日本投資ファンド(正確には、同社が運営する1号ファンド)
  • 取引対象
    雨宮ホールディングスの株式
  • 対象会社
    雨宮ホールディングス

なお、LBOファイナンスが利用されている場合、ファイナンサーとしてLBOレンダーが登場しますが、今回は省略します。

目的・背景

日本投資ファンドによる雨宮ホールディングスの投資事例:目的・背景

日本投資ファンドのリリースによると、戦略的資本提携の目的・背景は以下の通りです。

  • 引き続き地域に根ざしつつも、当社による質の高いサービスを更に多くの顧客へ提供可能とする経営基盤を現経営陣とともに強化
  • 進出済みの関東圏を始めとする他エリアへの進出や周辺事業への展開による成長を実現

スキーム

日本投資ファンドによる雨宮ホールディングスの投資事例:スキーム

公開情報が限定的であるため、推測による部分が大きくなりますが、スキームとしては、例えば次の3つが考えられます。

  • 株式譲渡(100%)
  • 株式譲渡(一部)
  • 第三者割当増資

以下、個別に検討していきます。

株式譲渡(100%)

日本投資ファンドによる雨宮ホールディングスの投資事例:株式譲渡(100%)

第1に、株式譲渡(100%)です。

買い手である日本投資ファンド(正確には同社が運営する1号ファンド。以下同じ)が、雨宮ホールディングスの株式100%を取得し、売り手である雨宮ホールディングスの株主に対し、株式の対価を支払います。

結果、日本投資ファンドは雨宮ホールディングスの単独の株主となります。

なお、株式譲渡について詳しく知りたい方は、以下の記事・動画もご覧ください。

▽関連記事:【図解】株式譲渡とは?事業譲渡との違いやメリットデメリット
▽関連記事:【図解】株式譲渡で知っておくべきこと【手続/法務/会計/税務】
▽関連動画:M&A動画|M&Aの手法 基本編|株式譲渡

株式譲渡(一部)

日本投資ファンドによる雨宮ホールディングスの投資事例:株式譲渡(一部)

第2に、株式譲渡(一部)です。

買い手である日本投資ファンドは、雨宮ホールディングスの株式の一部を取得し、売り手である雨宮ホールディングスの株主に対し、株式の対価を支払います。

この場合、既存株主も一部株式を保有したままとなるため、既存株主と日本投資ファンドが雨宮ホールディングスの株主となります。

本件の目的・背景のところで、「経営基盤を現経営陣とともに強化」とあるため、現経営陣が既存株主でもある場合、一部の株式を手元に残したまま、日本投資ファンドと協働することも考えられます。

第三者割当増資

日本投資ファンドによる雨宮ホールディングスの投資事例:第三者割当増資

第3に、第三者割当増資です。

買い手である日本投資ファンドは、雨宮ホールディングスが新たに発行する株式を取得し、同社に対し株式の対価を支払います。

この場合、日本投資ファンドの資金は会社に拠出され、今後の成長資金として活用されることとなります。

また、この場合既存株主はそのまま株主として残ります。

なお、第三者割当増資について詳しく知りたい方は、以下の関連記事・動画もご覧ください。

▽関連記事:【図解】第三者割当増資とは?概要やスキーム、メリットを解説
▽関連記事:【図解】第三者割当増資で知っておくべきこと【法務/会計/税務】
▽関連動画:M&A動画|M&Aの手法 基本編|第三者割当増資

各スキームのポイント

日本投資ファンドによる雨宮ホールディングスの投資事例:各スキームのポイント

このように、一口に「資本提携」という場合も、具体的なスキームとしては様々なパターンが考えられます。

各スキームのポイントとしては、次の様な点が挙げられます。

まず、第1の100%株式譲渡の場合、買い手の日本投資ファンドが議決権の100%を取得することができます。

次に、第2の一部株式譲渡の場合、売り手は一部株主を継続保有することになります。この場合、売り手は、ファンドのExitのタイミングで追加のキャピタルゲインを得る余地があります。

続いて、第3の第三者割当増資の場合、ファンドの出資した資金を企業価値向上のための成長資金として用いることができます。この場合も、売り手は、ファンドのExitのタイミングでキャピタルゲインを得る余地があります。

以上、今回は日本投資ファンドによる雨宮ホールディングスへの投資の事例をピックアップしました。

SOGOTCHA(ソガッチャ)では、毎週PEファンドが関わるM&A事例につきピックアップしていきますので、ぜひご覧ください。

なお、日本で活動するバイアウトファンド・メザニンファンドについて具体的に知りたい方は、こちらの資料をご参照ください。

▽関連資料:ファンドガイドブック

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