PEファンドのM&A|ポラリスによるパイオニア地図子会社の買収

PEファンドのM&A|ポラリスによるパイオニア地図子会社の買収

PEファンドのM&A|ポラリスによるパイオニア地図子会社の買収

今週(2021/3/8〜12)のPEファンドによるM&Aニュース

2021年3月8日(月)から3月12日(金)までの1週間に公表されたプライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)による主なM&A案件は、以下の通りです。

公表日買い手対象会社売り手備考
3月10日ポラリス・キャピタル・
グループ
インクリメント・
ピー
パイオニアカーブアウト

なお、PEファンドそのものについての理解を深めたい方は、こちらの資料や動画もご参照ください。

▽関連資料:ファンドガイドブック

▽関連動画

なお、本動画の内容はこちらの動画でもご覧いただけます。

投資事例:ポラリスによるパイオニア子会社インクリメント・ピーへの投資

投資事例:ポラリスによるパイオニア子会社インクリメント・ピーへの投資

今週3月10日(水)、ポラリス・キャピタル・グループから「インクリメント・ピー株式会社の全事業等の譲受について」というリリースが出されました。

同日、パイオニア及びインクリメント・ピーからも連名で「パイオニア連結子会社の地図事業の譲渡に関するお知らせ ~パイオニア、新成長戦略で変革を推進~」というリリースが出されています。

ポラリス・キャピタル・グループは、2004年に設立されたプライベートエクイティファンド運営会社です。当初みずほグループに属していましたが、現在は独立しています。これまでに5つのファンドを運営しており、直近の5号ファンドは1,500億円の規模になっています。

なお、ポラリス・キャピタル・グループについて詳しく知りたい方は、こちらの書籍もご参照ください。

▽関連書籍:

パイオニアは、1937年に初の純国産ダイナミックスピーカーを開発し、「スピーカーのパイオニア」として成長してきました。以前は東証一部に上場していましたが、2019年、香港のファンドであるベアリング・プライベート・エクイティ・アジアにより非公開化されました。

また、インクリメント・ピーはパイオニアの100%子会社で、カーナビやGoogleマップ向けなどのデジタル地図の位置情報サービスの会社です。地図関連の会社として、ゼンリンに次ぐ国内2位に位置しています。

本件は、ポラリス・キャピタル・グループがパイオニアからインクリメント・ピーを買収したカーブアウト案件です。

それでは、次の各テーマに沿って、本投資事例の概要につき検討していきましょう。

  • 関係者
  • 背景・目的
  • スキーム

なお、以下の内容は公開情報に基づくものであり、一部推測に基づいて作成している部分もあるため、実際のケースとは異なる可能性もある点、ご了承ください。

関係者

投資事例:ポラリスによるパイオニア子会社インクリメント・ピーへの投資の関係者

まず、関係者についてです。

本件における主な関係者は、次の通りです。

  • 実質的な買い手
    ポラリス・キャピタル・グループ(正確には同社の運営ファンド)
  • 形式的な買い手
    ポラリス・キャピタル・グループ(正確には同社の運営ファンド)が設立した買収用特別目的会社(SPC)であるPIPホールディングス
  • 実質的な売り手
    インクリメント・ピーの親会社であるパイオニア
  • 形式的な売り手
    事業の全てを譲渡するインクリメント・ピー
  • 取引対象及び対象事業
    インクリメント・ピーの全事業及びパイオニアが保有する関連資産(知的財産権なども含む)

以上が、本件の主な関係者です。なお、LBOファイナンスが用いられる場合、ファイナンサーの存在が想定されますが、本件では明示されていないため、省略します。

なお、LBOローン(LBOファイナンス)について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご参照ください。

▽関連記事:LBOとLBOファイナンス|それぞれの特徴を解説

背景・目的

投資事例:ポラリスによるパイオニア子会社インクリメント・ピーへの投資の背景・目的

続いて、本件取引の背景・目的についてです。

ここでは、売り手であるパイオニアの意向について検討します。

売り手の意向

売り手であるパイオニアの意向として、主に次の2点が挙げられます。

  • パイオニア自身の事業領域の見直し
    パイオニアは、2020年にモビリティ領域におけるハードウェアとソリューションサービスの融合による企業価値向上の方針を打ち出し、事業領域の見直しを実施
  • インクリメント・ピーの成長余地
    IT・ソフトウェアサービスに対する経験が豊富で、同業界に対して強いネットワークを有する新たなパートナーとの協働による、インクリメント・ピーのさらなる成長余地

このような売り手の意向に対し、ポラリスが買い手として応えることで、今回の案件につながりました。

スキーム

投資事例:ポラリスによるパイオニア子会社インクリメント・ピーへの投資のスキーム

続いて、本件取引のスキームについてです。

両者のプレスリリースによると、本件取引のスキームは、事業譲渡のようです。

本件取引のスキームは、以下の3つのステップで整理されます。

  • ステップ1. 事業譲渡
    事業譲渡の売り手であるインクリメント・ピーは、同社が有する全ての事業を、買い手であるPIPホールディングスに譲渡します。
    また、パイオニアも、インクリメント・ピーの事業に関連した資産(知的財産権など)を、PIPホールディングスに譲渡します。
  • ステップ2. 対価の支払
    買い手であるPIPは、インクリメント・ピー及びパイオニアに対し、事業譲渡の対価を支払います。
  • ステップ3. 事業譲渡の完了
    以上の取引により、事業譲渡は完了します。その後、買い手であるPIPホールディングスは社名をインクリメント・ピーに変更し、新生インクリメント・ピーとして事業を展開します。

以上が、本件取引のスキームの概要です。事業譲渡は2021年6月1日に完了予定とのことです。

なお、事業譲渡について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご参照ください。

▽関連記事:【図解】事業譲渡とは?メリットや手続をわかりやすく解説!

まとめ

以上、今回はポラリス・キャピタル・グループによるパイオニアの子会社インクリメント・ピーへの投資事例をピックアップしました。

SOGOTCHA(ソガッチャ)では、毎週PEファンドが関わるM&A事例をピックアップしていきますので、ぜひご覧ください。

なお、日本で活動するバイアウトファンド・メザニンファンドについて具体的に知りたい方は、こちらの資料をご参照ください。

▽関連資料:ファンドガイドブック

毎週のニュースをご覧頂くと分かる通り、PEファンドは頻繁にM&Aを行っています。このため、あなたも急にPEファンドと関わることになるかもしれません。

例えば、

  • PEファンドの投資先について、自社に買収検討の打診があった。
  • 自社のノンコア部門について、PEファンドから買収検討の打診があった。
  • 自社のオーナーが、PEファンドへの会社の売却を検討しているらしい。
  • 今度、PEファンドのExit案件のアドバイザリーをすることになった。
  • 銀行から、成長資金の調達先としてPEファンドの紹介を受けることになった。

そのような場面で、もしご自身の横に立って一緒に交渉や検討を進めてくれるパートナーが必要と思われたなら、弊社までお問い合わせください。

弊社は、手の届くM&AアドバイザリーとしてSOGOTCHA MOA(ソガッチャモア)というM&Aアドバイザリーサービスを提供しています。

気になることがございましたら、ご遠慮なくご連絡ください。

お問い合わせはこちら
COMPANY会社概要
CONTACT問い合わせ MATERIALS資料ダウンロード