PEファンドのM&A|カーライルによるウイングアーク1stのExit

PEファンドのM&A|カーライルによるウイングアーク1stのExit

PEファンドのM&A|カーライルによるウイングアーク1stのExit

今週(2021/3/15〜19)のPEファンドによるM&Aニュース

2021年3月15日(月)から3月19日(金)までの1週間に公表されたプライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)による主なM&A案件は、以下の通りです。

公表日買い手対象会社売り手備考
3月10日一般株主ウイングアーク1stカーライル・グループIPOによるExit
3月18日第一工業ビー・ピー・エスインテグラルExit

今週は、PEファンドによるExit2件(一部売却含む)が公表されています。

個別案件の概要

各案件の概要は、以下の通りです。

なお、以下の内容は公開情報に基づき作成しているため、実際のスキームとは異なる可能性もある点、ご了承ください。

カーライル・グループによるウイングアーク1stへの投資案件のExit

こちらの事例については、以下で詳細に検討します。

インテグラルによるビー・ピー・エスへの投資案件のExit

インテグラルは、2007年創業の日本国内の上場・未公開企業等を対象とした日本の独立系プライベート・エクイティ投資会社です。

ビー・ピー・エスは、2008年10月に民事再生法の適用を受けたフロンテックから、請求書・DM・宝くじ等の封入封緘機及び周辺機器の製造・販売・保守等の事業を切り出して独立した会社です。

2009年1月にインテグラルがビー・ピー・エスに出資し、約12年の投資期間を経て、今次のExitに至りました。

今回は、カーライルによるウイングアーク1stへの投資事例を検討します。

なお、PEファンドそのものについての理解を深めたい方は、こちらの資料や動画もご参照ください。

▽関連資料:ファンドガイドブック

▽関連動画

なお、本動画の内容はこちらの動画でもご覧いただけます。

投資事例:カーライルによるウイングアーク1stのExit

投資事例:カーライルによるウイングアーク1stのExit

今週3月16日(火)、カーライル・グループから「カーライル投資先のウイングアーク1st、東京証券取引所第一部への上場に関するお知らせ」というリリースが出されました。

同日、ウイングアーク1stからも「東京証券取引所市場第一部上場のお知らせ」というリリースが出されています。

カーライル・グループは、1987年にアメリカで設立されたプライベートエクイティファンド運営会社です。その後、日本法人であるカーライル・ジャパンが2000年に設立され、26件、総額3000億円以上の投資実績があり、Exit18件のうち、IPOは7件にのぼります(当社HPより)。

なお、カーライル・グループについて詳しく知りたい方は、こちらの書籍もご参照ください。

特に、「カーライル流 日本企業の成長戦略」には本事例のエピソードが詳しく掲載されています。

▽関連書籍:

ウイングアーク1stは、2004年に翼システム株式会社から独立し、帳票システムおよび企業情報処理システム等の開発・販売を行っています。以前は東証二部に上場していましたが、2013年、オリックスにより非公開化されました。

本件は、2016年3月、カーライル・グループがウイングアーク1stに出資し、約5年の投資期間を経て、今次のExitに至ったものです。

今回は、次の2段階に分けて、本件投資事例を検討します。

第1段階:2016年の投資実行時

  • 関係者
  • 目的・背景
  • スキーム

第2段階:2021年のExit時

  • 関係者
  • 目的・背景
  • スキーム

なお、以下の内容は公開情報に基づくものであり、一部推測に基づいて作成している部分もあるため、実際のケースとは異なる可能性もある点、ご了承ください。

第1段階:2016年の投資実行時

投資事例:カーライルによるウイングアーク1stのExitの第一段階(2016年の投資実行時)

関係者

投資事例:カーライルによるウイングアーク1stのExitの第一段階(2016年の投資実行時)の関係者

投資実行時の関係者は、次の通りです。

  • 実質的な買い手
    カーライル・グループ(正確には、カーライルの国内向け企業投資の3号ファンド)
  • 形式的な買い手
    カーライル・グループが新たに設立した買収用特別目的会社(SPC)であるWACホールディングス株式会社
  • 売り手
    ウイングアーク1stの創業者である内野氏及びオリックス(正確には同社の子会社であるOPI2002投資事業組合)
  • 取引対象
    ウイングアーク1stの全株式
  • ファイナンサー
    不明

以上が、本件の主な関係者です。

本件ではLBOファイナンスが用いられたとのことですが、LBOレンダーは明示されていません。

なお、LBOローン(LBOファイナンス)について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご参照ください。

▽関連記事:LBOとLBOファイナンス|それぞれの特徴を解説

目的・背景

投資事例:カーライルによるウイングアーク1stのExitの第一段階(2016年の投資実行時)の目的・背景

カーライル・グループの投資実行時のプレスリリース「ウイングアーク1st株式会社の株式取得に関するお知らせ」によると、投資の目的・背景は次の通り述べられています。

  • 市場環境
    • 企業活動におけるクラウド化の進展
  • ウイングアーク1stの強み:
    • 内野社長を中心とする現経営陣のリーダーシップ
    • 市場における確固たるポジション
    • 今後の成長性
  • カーライル・グループの役割
    • 日本の帳票システム及びBIシステム領域における優位なポジショニングを活かした事業展開を推進
    • ウイングアーク1stのソリューションサービスベンダーとしての更なる飛躍のサポート

スキーム

投資事例:カーライルによるウイングアーク1stのExitの第一段階(2016年の投資実行時)のスキーム

カーライル・グループによる投資実行時のプレスリリースによると、本件取引のスキームは株式譲渡です。

本件取引のスキームは、以下の4つのステップで整理できます。

  • ステップ1. 買収用特別目的会社(SPC)の設立
    カーライル・グループ(より正確には、カーライル・グループが運営する3号ファンド)は、本件実行用の買収用特別目的会社(SPC)として、WACホールディングスを設立します。
  • ステップ2. LBOローンの調達(推測)
    SPCは、ファイナンサーからLBOローンを調達します。
  • ステップ3. 株式譲渡
    売り手である内野氏及びオリックスは、両者が有する全ての株式を、買い手であるWACホールディングスに譲渡します。買い手であるWACホールディングスは、内野氏及びオリックスに対し、株式譲渡の対価を支払います。結果として、ウイングアーク1stはWACホールディングスの完全子会社となります。
  • ステップ4. SPCと対象会社の合併
    取引実行から約2ヶ月後、WACホールディングスはウイングアーク1stを吸収合併し、同日付でWACホールディングス株式会社からウイングアーク1st株式会社に商号変更を行い、実質的に事業を承継しました。

なお、SPCと対象会社が合併するのは、ファイナンサーであるLBOレンダーからの信用補完措置として合併が要請されるためです。

この点については、以下の記事をご参照ください。

▽関連記事:【図解】LBOファイナンスでレンダーから要求される3つのこと

第2段階:2021年のExit時

投資事例:カーライルによるウイングアーク1stのExitの第二段階(2021年のExit時)

関係者

投資事例:カーライルによるウイングアーク1stのExitの第二段階(2021年のExit時)の関係者

続いて、今週発表されたカーライル・グループによるExit(あるいは、ウイングアーク1stから見た場合は株式上場)について整理します。

まず、関係者についてです。

本件における主な関係者は、次の通りです。

  • 買い手
    一般株主
  • 売り手
    カーライル・グループ
  • 取引対象
    カーライル・グループが保有するウイングアーク1stの株式

以上が、本件の主な関係者です。

背景・目的

投資事例:カーライルによるウイングアーク1stのExitの第二段階(2021年のExit時)の背景・目的

2月18日にウイングアーク1stより提出された 「新規上場申請のための有価証券報告書(Iの部)」によると、再上場に至った経緯は、以下の通りとのことです。

  • 新たな中期経営計画達成のための資金調達の多様化
    • 業種・業務に特化したクラウドベースの新事業へのさらなる投資
    • 積極的なM&Aの実施
  • 上場メリットの享受
    • 社会的知名度・信頼性の向上
    • 優秀な人材の確保
    • 経営基盤の強化

スキーム

投資事例:カーライルによるウイングアーク1stのExitの第二段階(2021年のExit時)のスキーム

ここでは、売り手であるカーライル・グループの立場から見たスキームを、簡略化して整理します。

  • ステップ1.ウイングアーク1stの株式上場
    ウイングアーク1stは、株式を上場します。
  • ステップ2. ウイングアーク1st株式の売却
    カーライル・グループ(正確には、カーライルの国内向け企業投資の3号ファンド)は、保有するウイングアーク1stの全株式を、株式市場で売却します。
  • ステップ3. Exit完了
    カーライル・グループは、株式市場でウイングアーク1stの株式を売却することにより、その対価を受け取り、Exitが完了します。

まとめ

以上、今回はカーライルによるウイングアーク1stのExit事例をピックアップしました。

SOGOTCHA(ソガッチャ)では、毎週PEファンドが関わるM&A事例をピックアップしていきますので、ぜひご覧ください。

なお、日本で活動するバイアウトファンド・メザニンファンドについて具体的に知りたい方は、こちらの資料をご参照ください。

▽関連資料:ファンドガイドブック

毎週のニュースをご覧頂くと分かる通り、PEファンドは頻繁にM&Aを行っています。このため、あなたも急にPEファンドと関わることになるかもしれません。

例えば、

  • PEファンドの投資先について、自社に買収検討の打診があった。
  • 自社のノンコア部門について、PEファンドから買収検討の打診があった。
  • 自社のオーナーが、PEファンドへの会社の売却を検討しているらしい。
  • 今度、PEファンドのExit案件のアドバイザリーをすることになった。
  • 銀行から、成長資金の調達先としてPEファンドの紹介を受けることになった。

そのような場面で、もしご自身の横に立って一緒に交渉や検討を進めてくれるパートナーが必要と思われたなら、弊社までお問い合わせください。

弊社は、手の届くM&AアドバイザリーとしてSOGOTCHA MOA(ソガッチャモア)というM&Aアドバイザリーサービスを提供しています。

気になることがございましたら、遠慮なくご連絡ください。

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