MBOの資金調達方法別のメリットとデメリットを比較!ファンドMBOの場合

MBOの資金調達方法別のメリットとデメリットを比較!ファンドMBOの場合

MBOの資金調達方法別のメリットとデメリットを比較!ファンドMBOの場合

さて、MBO資金調達シリーズ第4回の今回は、ファンドからの出資を受け入れるファンドMBOのメリットとデメリットについて解説します。

《執筆者》

PEファンド・M&Aアドバイザリーの実務経験があるSOGOTCHA(ソガッチャ)スタッフが執筆しました。

MBO(マネジメントバイアウト)とは?

MBOとは?MBOの3類型

MBOとは、マネジメントバイアウト(Management Buyout)の略称で、経営陣による企業買収・事業買収を意味します。

そして、MBOは資金調達の方法別に3つの手法に分けることができます。

  • 自己資金型MBO
  • ローン型MBO(デットMBO)
  • ファンドMBO

今回は、その中のファンドMBOについて解説します。

第1回の記事で3つの手法の大枠を説明・比較していますので、まだ読んでいない方はさらっと読んでおくとスムーズに理解が進むと思います。

▽関連記事:MBO(マネジメントバイアウト)の資金調達方法別のメリットとデメリットを比較!

PEファンドと手を組むファンドMBOとは?

ファンドMBO。ファンドの資金を利用してMBOを実行する方法

では、まずファンドMBOにおいて資金や株がどのように動くのか確認しておきましょう。

ポイントは、

  • ファンドから資金を調達する
  • ファンドも株主になる

ということです。

ファンドも株主になるということが他のスキームとの最大の違いです。

▽関連動画:ファンドから資金を調達してMBOを実施する場合のスキーム|MBO#5

▽関連動画(参考):ファンドMBOの概要とは??①/ファンドMBO(1)【M&Aのプロが解説!】
※特別目的会社についての解説は、本シリーズの最後に取り上げる予定です。

▽関連記事:マネジメントバイアウト(MBO)で特別目的会社(SPC)を設立する2つのメリット

ファンドMBOのメリット

ファンドMBOのメリット

それでは、ファンドMBOのメリットを見ていきましょう。

ファンドMBOのメリットとして、次の6つが挙げられます。

  • 経営支援を得られる
  • 後継者に資金がなくても実施できる
  • 会社の信用力を利用して資金を調達できる
  • 株式を現金化できる
  • 株式の買取価格の上昇を期待できる
  • 守秘性が高い

自己資金型MBOやローン型MBOでは無かった「経営支援を得られる」というメリットが出てきました。

以下、詳しく解説します。

経営支援を得られる

これは、他のスキームには無い、ファンドMBOだけのメリットです。

ファンドの運用者であるジェネラル・パートナー(以下、GP)は、いわばM&Aのプロフェッショナルです。

その豊富な経験から、投資先の企業価値向上のためのノウハウを持っています。

もしMBOにおいてファンドからの出資を受け入れた場合、買い手となる後継者は、GPによる経営支援を受けることができます。

また、現社長にとっても、今まで大切に守ってきた会社の運営が良くなることはメリットと言えるでしょう。

その他のメリット

その他のメリットについては、前回ローン型MBOについて解説した理由と同様なので、割愛します。

こちらのリンクから確認してください。

▽関連記事:MBOの資金調達方法別のメリットとデメリットを比較!ローン型の場合

▽関連動画(現社長(売り手) のメリット):ファンドMBOのメリットとは??①/ファンドMBO(8)【M&Aのプロが解説!】

▽関連動画(後継者(買い手)のメリット):ファンドMBOのメリットとは??③/ファンドMBO(10)【M&Aのプロが解説!】

▽関連動画(売り手が法人の場合のメリット) :ファンドMBOのメリットとは??②/ファンドMBO(9)【M&Aのプロが解説!】

ファンドMBOのデメリット

ファンドMBOのデメリット

本シリーズをここまで読んでいただいている方でしたら、ファンドMBOのデメリットはなんとなく想像がついているかと思います。

主に、次の2つが挙げられます。

  • 社長が選んだ後継者に承継できない/後継者が経営権を確保できない場合がある
  • 資金の返済負担がある場合がある

では、それぞれ個別に解説します。

社長が選んだ後継者に承継できない/後継者が経営権を確保できない場合がある

これはMBOのスキームにも依りますが、一般的には、買収資金の大半をファンドが出資します。

そのため、単純に出資割合に応じて、ファンドが経営権を取得するケースもあります。

冒頭で説明した、ファンドも株主になる、という点です。

また、株主は経営陣の選解任ができますので、最悪の場合、引き継いでもらいたいと思って譲り渡した後継者が解任されてしまうリスクもあります。

ただし、資金の多寡にかかわらず、協議によって議決権を決めることなどもできます。

このあたりは別の機会に詳しく解説したいと思いますが、こちらの動画でも解説されていますので、気になる方はご覧ください。

▽関連記事:事業承継でファンドを利用!経営権を確保できるスキームを解説

▽関連動画:ファンドMBOと経営権①/ファンドMBO(3)【M&Aのプロが解説!】

▽関連動画:ファンドMBOと経営権②/ファンドMBO(4)【M&Aのプロが解説!】

▽関連動画:ファンドMBOで経営権を維持できるスキーム【無議決権優先株式による出資】

資金の返済負担がある場合がある

ファンドからの出資は、普通株式や優先株式などで実施されます。

  • 普通株式の場合・・・返済や償還の義務は無い
  • 優先株式の場合・・・設計内容によっては、一定期間後に償還期限が設定されているケースがある。その場合、ローンと同様、ファンドに対して優先株式を償還しなければならない(=返済負担がある)

また、ファンド出資に加えてローンを調達する場合などは、ローンの返済負担もあります。

▽関連動画(現社長(売り手)のデメリット):ファンドMBOのデメリットとは??①/ファンドMBO(11)【M&Aのプロが解説!】

▽関連動画(後継者(買い手)のデメリット):【買い手側】ファンドMBOの4つのデメリット|ファンドMBOのデメリット#2

まとめ

さて、今回はファンドMBOについて解説しました。

ファンドMBOについての動画はこちらの再生リストにまとまっているので、あわせてご覧ください。

▽関連動画再生リスト:PEファンドと手を組むファンドMBO!【M&Aのプロが解説!】

これで、

  • 自己資金型MBO
  • ローン型MBO(デットMBO)
  • ファンドMBO

の違いについてご理解いただけたかと思います。

次回が本シリーズの最終回!たびたび登場していた特別目的会社について取り上げます。

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