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株式会社いつも(以下、「いつも. 」)の経営戦略とM&Aについて整理します。
また、本記事の概要は、こちらの動画でもご覧頂けます。
いつも. の経営戦略
いつも. は、ECサイトの運営やコンサルティングを行う東証グロース市場の上場会社です。同社は、「日本の未来をECでつくる」をミッションとして掲げており、その実現へのステップとして、2022年6月に中期経営計画「いつも.5x」が発表されました。
いつも. の事業内容
中期経営計画「いつも. 5x」の説明に先立ち、いつも. の事業内容についてです。
いつも. は、現在主に3つの事業を営んでいます。
- ブランドEC事業①協業ブランドパートナー
- メーカーの直販(DtoC)におけるEC事業をいつも. が代行するものです。(2022年3月期売上高75億円)
- ブランドEC事業②共創・自創バリューアップ
- いつも. 自身が他社の事業やブランドをM&Aにより買収し、自身が有するECノウハウを活用し、バリューアップを図るものです。(同20億円)
- ECサービス事業
- 顧客のEC事業に対するコンサルティングを提供するものです。(同22億円)
中期経営計画「いつも. 5x」
中期経営計画「いつも. 5x」では、2027年3月期までの5年間で、売上高を5倍にすることを目指しています。具体的には、2022年3月期116億円の売上高について、2027年3月期に510億円とするものです。
510億円の売上高の事業別の構成は、以下の通りです。
- ブランドEC事業①協業ブランドパートナー 204億円
- ブランドEC事業②共創・自創バリューアップ 196億円
- ECサービス事業 60億円
- ECプラットフォーム事業* 50億円
*ECプラットフォーム事業は、2023年3月期から本格化される新規事業です。
各事業とも、大きな売上高増加目標が掲げられていますが、ブランドEC事業②共創・自創バリューアップにおいては、20→196億円といった特に大きな売上高増加が計画されています。同事業は、「いつも. が実施するM&Aそのもの」と言えるものであり、次節で詳しく掘り下げます。
経営戦略の中でのM&A
ここで、いつも. の経営戦略におけるM&Aについて説明します。
M&A=ブランドEC事業②共創・自創バリューアップそのもの
いつも. にとってのM&Aは、同社の事業のひとつである「ブランドEC事業②共創・自創バリューアップ」そのものといえます。同事業は、いつも. 自身がM&Aにより他の事業やブランドを買収し、自身が有するECノウハウを活用し、バリューアップを図るものです。
具体的には、他社が有する1事業(1ブランド)の買収、あるいは、他社そのものを買収するものです。いつも. が有するECノウハウを活用したバリューアップが前提であるため、対象事業・対象会社は自社ブランドを有している事業・会社となります。
2021年以降、11のブランドを買収しています。
M&A枠30億円
いつも. は、ブランドEC事業②共創・自創バリューアップによるM&Aを推進するため、2023年3月期において、M&A枠として30億円を設定しています。なお、当該M&A枠は、ブランドEC事業②共創・自創バリューアップの「成長性のあるD2Cブランド取得」に加え、その他の「各事業強化のためのビジネス取得」も投資対象としています。
いつも. のバリューアップ
いつも. のM&Aは、自社ブランドを有している事業・会社、すなわち、「ヒト・モノ・カネ・情報」の経営資源の内、「モノ」を持っている会社を買収対象としています。その上で、買収先で不足している「ヒト・カネ・情報」について、いつも. が有するEC人材や成長資金、ECノウハウを提供し、買収先のバリューアップを図ります。
バリューアップの具体策としては、以下のようなものが挙げられています。
- 売上高増加
- クロスプラットフォーム展開
従前未展開であった他のECプラットフォームへの展開をサポートします。 - ECマーケティング支援
競合・市場分析に基づいた製品開発、リブランディング、ECサイト回収など、コンバージョン向上を実現するためのECマーケティングをサポートします。
- クロスプラットフォーム展開
- コスト低減
- マーケティングコストの削減
いつも. のマーケティングノウハウやテクノロジーの活用により、マーケティングコストの低減を図ります。 - 物流コストの削減
EC特化の物流体制を構築し、物流コストの削減を図ります。 - 運営管理費の削減
コーポレート部門の一元管理などにより、運営管理費の削減を図ります。
- マーケティングコストの削減
実際、2022年3月期にM&Aを実施した買収先について、半年間で売上高113%、利益175%のバリューアップを実現しています。
いつも. のM&A事例|ビーラン
いつも. は、ブランドEC事業②共創・自創バリューアップによるM&Aの一環として、2021年以降、11のブランドを買収しました。その内の1つが、スノーボードを中心としたスポーツ用品の企画・製造・販売を行っているビーランです。
いつも. は、同社に対して以下のような施策を実施し、バリューアップに貢献したとのことです。
- 各ECチャネル強化
- Amazon:広告、体制強化
- 楽天:全体最適化
- 自社サイト:SNS、体制強化
- 在庫最適化による機会損失削減
人気商品の在庫を増やし、シーズンを通じて販売 - MDの成功
流行りの商材の複数展開の実施 - SNS施策の成功
コア層(中上級者)との積極的なコミュニケーションによる宣伝効果の拡大