劣後ローンに関わる5つの契約とそれぞれの当事者|メザニンファイナンス

劣後ローンに関わる5つの契約とそれぞれの当事者|メザニンファイナンス

劣後ローンに関わる5つの契約とそれぞれの当事者|メザニンファイナンス

劣後ローンを利用したスキームを検討されている方のために、少しでも参考になればと思いこの記事を書きました。

劣後ローンを取り巻く関係者契約関係について整理していきたいと思います。

《執筆者》

PEファンド・M&Aアドバイザリーの実務経験があるSOGOTCHA(ソガッチャ)スタッフが執筆しました。

劣後ローンとは

劣後ローンとは

劣後ローン(メザニンローン)とは、シニアローンに劣後するローンのことです。

中二階と呼ばれるメザニンファイナンスにおいて利用されます。

メザニンファイナンスについては、【図解】メザニンファイナンスとは?シニア・メザニン・エクイティの違いで詳しく解説していますので、理解に自信がない方はぜひこちらを読んでから本記事をお読みいただくとスムーズだと思います。

なお、メザニンは優先株式として提供されることもあります。(他に劣後債という選択肢もありますが、実務上あまり用いられていないので割愛します。)

劣後ローンと優先株式の違いについて詳しく知りたい方は、【図解】劣後ローンとは?そのメリットを優先株式と比較しながらわかりやすく解説しますの記事をご覧ください。

本記事では劣後ローンにフォーカスし、劣後ローンを取り巻く関係者契約関係について整理していきたいと思います。

劣後ローンの関係者

劣後ローンの関係者

劣後ローンを利用する場合、それを取り巻く主な当事者は以下の4者が挙げられます。

  • 劣後ローンを調達する会社
  • シニアレンダーである金融機関
  • 劣後ローンを提供し、劣後ローンの貸付人となるメザニンレンダー
  • 普通株主であるエクイティスポンサー

劣後ローンを調達する会社は、成長資金の調達や資本増強のために利用されるコーポレートメザニンの場合は、事業を運営している会社自身がそれにあたります。

一方、M&Aによる買収(バイアウト)の場面で利用されるバイアウトメザニンの場合は、買収主体となる買収用特別目的会社(SPC)が借入人となります。

なお、劣後ローンは、シニアレンダーだけでは対応できない資金ニーズをメザニンで充足するために通常用いられます。

よって、劣後ローンが活用される場面では、シニアレンダーである金融機関も関係していることが一般的です。

そして、普通株主であるエクイティスポンサーは、コーポレートメザニンの場合はその会社の株主です。

一方バイアウトメザニンの場合は、ファンドであるのが一般的です。

▽関連動画:劣後ローンで登場する関係者は??/劣後ローン(1)【M&Aのプロが解説!】

劣後ローンの契約関係

劣後ローンの契約関係

さて、劣後ローンを取り巻く関係者を整理できたところで、次はいよいよ契約関係について確認していきましょう。

劣後ローンに関係する主な契約は、次の5つです。

  • 劣後ローン契約
  • 劣後担保契約
  • 劣後保証契約
  • 債権者間契約
  • 担保権者間契約

それぞれの契約がどの関係者に関するものなのか整理しながら、その概要を説明します。

劣後ローン契約

劣後ローン契約とは、シニアローンの契約書をベースに、利息(キャッシュ・PIK)と劣後性につき規定されているものです。

借入人である会社メザニンレンダーとの間で締結されます。

なお、キャッシュとPIKはメザニンレンダーが受領するリターンのことで、それぞれ次のような特徴があります。

  • キャッシュ…現金利息を指し、投資期間中定期的に現金で受領するリターン
  • PIK…繰延利息を指し、メザニン投資が完了したタイミングで受領するリターン。Payment In Kindの略で、ピックと読む

メザニンレンダーが受領するリターンについては、【図解】メザニンレンダーが得る4つのリターン|キャッシュとPIKの組み合わせの記事で解説しています。

劣後担保契約と劣後保証契約

劣後担保契約と劣後保証契約では、メザニンレンダーの担保と保証について規定されます。

劣後ローンはその名の通りシニアローンに劣後しますので、メザニンレンダーの担保や保証の順位はシニアレンダーに次ぐ順位となります。

これら2つの契約は、劣後ローンの借入人である会社メザニンレンダーとの間で締結されるのが基本です。

ただし、借入人のグループ会社などが担保設定者や保証人となる場合は、それらの会社も契約当事者となります。

債権者間契約

債権者間契約において、主にシニアレンダーとメザニンレンダーとの間の優先劣後関係などが規定されます。

なお、借入人である会社・シニアレンダー・メザニンレンダーの3者間で締結されます。

担保権者間契約

担保権者間契約では、担保の取り扱いや担保実行時の手続きなどが規定されます。

こちらも、借入人である会社・シニアレンダー・メザニンレンダーの3者間で締結されます。

ただし、借入人のグループ会社などが担保権設定者となる場合は、それらの会社も契約当事者となります。

▽関連動画:劣後ローンにおける契約関係の全体像は??/劣後ローン(2)【M&Aのプロが解説!】

まとめ

さて、今回は劣後ローンの契約関係について整理しました。

同じくメザニンとして提供される優先株式の契約関係とも是非比較してみてください。

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