リビングプラットフォームのM&A戦略|買収による介護事業の拡大

リビングプラットフォームのM&A戦略|買収による介護事業の拡大

リビングプラットフォームのM&A戦略|買収による介護事業の拡大
リビングプラットフォームのM&A戦略|買収による介護事業の拡大

東証グロース上場のリビングプラットフォームは、介護事業からスタートし、同事業で蓄積したノウハウを活かして、障がい者支援事業、保育事業にも参入しました。現在は介護・障がい者支援・保育の3つの事業を展開しています。

同社は事業成長の過程で、既存事業の強化、及び新規事業への参入の手段として、M&Aを積極的に活用しています。

以下では、リビングプラットフォームの経営戦略とM&Aについて説明します。

また、本記事の概要は、こちらの動画でもご覧頂けます。

リビングプラットフォームはどんな会社か?

リビングプラットフォームは、「持続可能な社会保障制度を構築する」ことを目標に掲げ、介護・障がい者支援・保育の3つの事業を営んでいます。同社は、2011年に創業、介護事業からスタートしました。2014年に障がい者支援事業を開始、2016年にはM&Aを通じて保育事業に参入し、現在の3事業の展開に至ります。その後、創業から9年弱の2020年に東証マザーズに上場しました。

事業概要

リビングプラットフォームの事業概要

リビングプラットフォームは、介護・障がい者支援・保育の3つの事業を営んでおり、2022年7月末時点で、全国に介護施設61・障がい者支援施設20・保育施設15の合計96施設を有しています。2022年3月期における売上高構成比は上図の通りであり、介護が8割超を占める主力事業となっています。

同社は、介護事業からスタートし、そのノウハウを活かして障がい者支援事業に進出し、また障がい者支援事業でのノウハウを活用すべく保育事業に参入したという経緯があり、事業シナジーに沿った事業領域の拡大を実現しています。

介護事業

リビングプラットフォームの介護事業

介護領域における同社の事業領域は、上図の5つ(高齢者グループホーム、有料老人ホーム、訪問介護、訪問看護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、居宅介護支援)です。

同社は、徐々に介護施設数を増やし、2022年7月末時点で全国に61の介護施設(有料老人ホーム等33、グループホーム28)を有していますが、その特徴として「大型都市駅近隣への集中」が挙げられます。すなわち、同社の介護施設の9割近くは東京23区・政令指定都市・中核市に位置しており、駅からの平均距離は0.8kmと駅に近接しています。この点は、入居者やスタッフを確保する上での大きな強みとなっていると言えます。

障がい者支援事業

リビングプラットフォームの障がい者支援事業

障がい者支援領域における同社の事業領域は、上図の2つ(共同生活援助(グループホーム)、就労継続支援B型)です。

  • 共同生活援助(グループホーム)
    住む場所を見つけることが簡単ではない障がい者の方々へ「住む場所」を提供するものです。
  • 就労継続支援B型
    雇用契約締結が可能な障がい者の方々については上場会社が「働く場所」の提供を進める一方、リビングプラットフォームが営む就労継続支援B型は、雇用継続が困難な障がい者の方々に対する就労前訓練・支援を行うものです。

これらの2領域は、競合プレーヤーが少なく、また事業形態が介護に近いため、同社が有する介護ノウハウを活用することができます。

保育事業

リビングプラットフォームの保育事業

保育領域における同社の事業領域は、上図の2つ(認可保育所、企業主導型保育)です。認可保育所では、障がい者支援事業のノウハウを活かすことで障がい児保育を営んでいます。また、企業主導型保育では、同社グループ職員の職場の近隣地域に企業主導型保育所を展開することで、子育て世代のグループ職員の働きやすさを実現することも目指しています。

リビングプラットフォームの経営戦略とM&A

リビングプラットフォームの経営戦略におけるM&Aの位置付けについて整理します。

M&A実績

リビングプラットフォームのM&A実績

同社は、2022年7月末時点で、17件のM&Aを実施しています。

  • 2013年 ウェルライフヴィラ柏(介護)
  • 2014年 ケアプロダクツ(介護)
  • 2014年 ライブラリ白石はな壱号館、ライブラリ白石はな弐号館(介護)
  • 2015年 シルバーハイツ札幌(介護)
  • 2015年 アイケアパートナーズ東京(介護)
  • 2016年 Good・Better・Best(介護)
  • 2016年 OSプラットフォーム(介護)
  • 2016年 ライフミクス(介護)
  • 2016年 IMAGINE保育園(保育)
  • 2016年 アルプスの社(介護)
  • 2017年 クローバーケアホーム(介護)
  • 2017年 こまち、花こまち(介護)
  • 2021年 ブルー・ケア(介護)
  • 2022年 ID・アーマン(保育)
  • 2022年 アートアシスト(介護)

こちらのM&A実績が示す通り、リビングプラットフォームは、既存事業の強化、及び新規事業への参入の両面でM&Aを活用しています。

  • 既存事業の強化
    介護事業の強化、具体的には介護施設の取得を主たる目的として、M&Aが活用されています。2022年7月末の介護事業61施設の内、約半数の29施設はM&Aを通じて取得したものです。
  • 新規事業への参入
    保育事業で見られた通り、同社においては既存事業の強化だけでなく、新規事業への参入においてもM&Aが活用されています。同事業では、2022年にロールアップ(追加買収)が実施され、保育事業の参入だけではなく強化においてもM&Aが活用されています。

M&A後のバリューアップ

リビングプラットフォームのバリューアップ

同社のM&Aの特徴として、買収後のバリューアップが挙げられます。同社は、自社が有する事業ノウハウを活かし、買収先の黒字転換または黒字幅拡大を実現しています。

  • 黒字転換
    アルプスの社(承継後+1期目)
    Good・Better・Best(承継後+2期目)
    ケアプロダクツ(承継後+3期目)
  • 黒字幅拡大
    シルバーハイツ札幌
    アイケアパートナーズ東京
    ライフミクス
    IMAGIN保育園

このようなバリューアップスキルがあるからこそ、同社にとってM&Aが有効な経営戦略として機能しているものと考えられます。

今後のM&A見通し

リビングプラットフォームの今後のM&A見通し

リビングプラットフォームは、2022年8月公表の中期経営計画において、各年20%の売上高成長率を見込んでいます。新規施設の開設による自律的なオーガニックグロースがメインシナリオと考えられますが、事業規模拡大の補完的な手段として、M&Aも活用されるものと考えられます。

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