目次
PEファンドのビジネスは、
- 調達(ファンドレイズ)
- 投資(ソーシング、エグゼキューション)
- 運用(PMI、バリューアップ)
- 回収(Exit)
- 分配
の5つのステップから構成されています。
本記事では、
- 運用(バリューアップ)
について整理します。
まずPEファンドビジネスの全体像について知りたいという方は、【図解】PEファンド転職希望者必見!ファンドビジネスの流れをご覧ください。
なお、本記事の内容はこちらの動画でもご覧いただけます。
《執筆者》
PEファンド・M&Aアドバイザリーの実務経験があるSOGOTCHA(ソガッチャ)スタッフが執筆しました。
PEファンドによるバリューアップとは
PEファンドは、ソーシングで案件を発掘し、エグゼキューションで投資を実行した後、運用の段階に入ります。
運用は、大きくPMIとバリューアップの2つに分かれます。
- PMI…投資後短期的に行う統合作業
- バリューアップ…投資後中長期的に行う企業価値向上のための施策
PMIが投資後の守りを固める作業、バリューアップは攻めの作業にあたると言えます。
バリューアップは、投資先の企業価値向上を目的として実施されるあらゆる施策が含まれます。
ここで、企業価値向上の観点から一般的に最も重視される指標はEBITDA(償却前営業利益)です。
本記事では、EBITDA向上の観点から実施される諸施策につき、以下の3つの分類で具体的に検討します。
- 売上高拡大
- 売上原価削減・粗利率改善
- 販管費削減・営業利益率改善
それでは、各項目の具体的な内容につき、検討していきましょう。
バリューアップの施策1. 売上高拡大
まず、売上高拡大についてです。
売上高拡大の施策については、投資先の業態により大きく異なりますが、代表的な施策としては以下のようなものが挙げられます。
- 新規出店の拡大
- 製品ラインナップの強化
- 既存製品・サービスの単価の引上げ
バリューアップに強みのあるファンドの場合、特に新規出店の拡大により、売上高規模を大きく増加させるケースがよく見られます。
新規出店の場合、店舗立地や人材の確保、製品・サービス品質の維持などがボトルネックになりがちですが、PEファンドが参画した投資先の場合、オペレーションの標準化などを通じて、既存ビジネスのスケール化を容易に実現できるよう体制整備を図られている場合が多く見られます。
バリューアップの施策2. 売上原価削減・粗利率改善
次に、売上原価削減・粗利率改善についてです。
PEファンドは、投資後早期に各製品・サービスの粗利や営業利益の正確な把握に努めます。
この徹底的な現状確認を通じて、
- 売上高は大きいがあまり儲かっていない製品
- 実は高利益率な製品
などを再確認します。
その上で、製品ポートフォリオの変更(儲かる製品・サービスにシフトする)や製品の標準化を通じた原材料の一括仕入によるボリュームディスカウントなどを通じ、原価削減・粗利率改善を図ります。
バリューアップの施策3. 販管費削減・営業利益率改善
続いて、販管費削減・営業利益率改善についてです。
PEファンドの投資前、対象会社の経営陣から「うちは徹底的にコストカットを実施している」と言われるケースも多くありますが、PEファンドが第三者の目で販売費及び一般管理費(販管費)を見直した場合、思いの外、追加削減の余地があるケースがあります。
例えば、以下のようなものが挙げられます。
- 地代家賃…オフィス移転や拠点の統廃合による削減
- 旅費交通費…遠隔地との社内ミーティングをオンライン化することで削減
- 支払手数料…過剰な専門家やコンサルタントのコストの削減
- 保険料…節税保険の解約による削減
このような施策を通じ、営業利益率の改善を図ります。
バリューアップによるEBITDAの改善効果
以上、
- 売上高拡大
- 売上原価削減・粗利率改善
- 販管費削減
の3つの具体的な内容につき取り上げました。
PEファンドが企業価値向上を目指す中で、EBITDA(償却前営業利益)はひとつの重要な指標(通常は最重要な指標)ですが、上記の各施策の実施を通じて、EBITDAの改善を図ることになります。
まとめ
さて、今回はPEファンドのビジネスの流れにおけるバリューアップについて取り上げました。
なお、本記事の内容はこちらの動画でもご覧いただけます。
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