目次
LBOはM&Aにおける買収手法のひとつで、その最大の特徴は、対象会社の信用力に基づいて資金を調達して買収を行うという点です。
この、「対象会社の信用力に基づく資金調達」を実現するため、
- 買収用特別目的会社(SPC)を設立し、
- SPCが資金を調達して対象会社を買収し、
- 最終的にSPCと対象会社が合併する
という、やや複雑なスキームをとります。
本記事では、LBOスキームの特徴に注目して掘り下げていきます。
なお、本記事は入門的な内容になっていますので、より詳しくLBOの全体像を知りたい方は、【図解】LBO(レバレッジドバイアウト)をどこよりも丁寧に解説をご覧ください。
《執筆者》
PEファンド・M&Aアドバイザリーの実務経験があるSOGOTCHA(ソガッチャ)スタッフが執筆しました。
LBOスキームの特徴
そもそもLBOとは「買収資金を調達する際、買い手の信用力ではなく、対象会社の信用力に基づいて調達し、その買収資金をもって買収を行う」というM&Aの手法のひとつです。
対象会社の信用力に基づいて買収資金を調達するという点が最大の特徴であり、LBOのスキームも、それを実現するためのスキームとなっています。
※LBOスキームの具体的な流れについては、【図解】LBOスキームの5つのステップ|SPCの設立から合併までをご覧ください。
LBOスキームの主な特徴として、以下の3点が挙げられます。
- 特徴①:買収用特別目的会社(SPC)の設立
- 特徴②:SPCによる資金調達
- 特徴③:SPCと対象会社の合併
以下では、これら3点につき具体的に検討していきましょう。
LBOの特徴①:買収用特別目的会社(SPC)の設立
まず、LBOスキームの特徴の1つ目として、買収用特別目的会社(SPC)を設立することが挙げられます。
SPCとはSpecial Purpose Companyの略で、その名の通りある特別な目的のために設立される法人のことを意味し、M&Aの場面においては買収資金の調達を目的として設立される法人を指します。
LBOにおいてSPCがどのように利用されるかというと、まず買い手がSPCを設立し、SPCが買収ファイナンスの調達主体として買収資金を調達、そして買収主体として実際の買収を行い、最終的に対象会社と合併します。
比較のために、シンプルなM&Aのケースを考えます。
例えば、買い手が自己資金で対象会社の株式を取得してM&Aを実施するような場合、特段SPCを設立する必要もないため、SPCは設立されません。
一方、LBOスキームにおいては、以下の特徴②で挙げる通り、SPCが買収ファイナンスの調達主体となり、その後の買収を実現するため、SPCの設立が必要となります。
LBOの特徴②:SPCによる資金調達
次に、LBOスキームの特徴の2つ目、SPCによる資金調達につき検討します。
上述の通り、LBOスキームにおいてはSPCが買収資金を調達する、すなわちSPCが買収ファイナンスの調達主体となります。
また、調達した資金を用いて、実際に買収を行う買収主体ともなります。
この点についても、比較のためにシンプルなM&Aのケースを考えます。
例えば、買い手が買収資金を借入で調達する場合、買い手自身が買収ファイナンスの調達主体となり、買収資金を調達します。
また、買収そのものも買い手自身が実施します。
一方、LBOスキームにおいては、買い手自身ではなく、買い手が設立したSPCが買収ファイナンスの調達主体となり、買収資金を調達します。
また、買収そのものもSPCが実施します。
但し、買収の意思決定はSPCではなく買い手自身が実施します。SPCはあくまで買収資金の調達と買収を実現するためのビークルに過ぎません。
LBOの特徴③:SPCと対象会社の合併
最後にLBOスキームの特徴の3つ目、SPCと対象会社の合併につき検討します。
特徴②で見た通り、LBOスキームにおいて、SPCは買収ファイナンスの調達主体となります。
その後、SPCは調達した買収資金を用いて対象会社の買収(具体的には、株式の取得など)を実現します。
SPCによる対象会社の買収が実現し、対象会社がSPCの子会社になった後、SPCは対象会社と合併します。
すなわち、この合併を通じて、SPCが調達した買収資金は実質的に対象会社への付け替えられます。
以上の3つの特徴により、LBOの「買収資金につき、買い手の信用力ではなく、対象会社の信用力に基づいて調達し、その買収資金をもって買収を行う」というスキームが実現します。
まとめ
さて、今回はLBOスキームの3つの特徴について取り上げました。
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