目次
メザニンファイナンスを提供するメザニンレンダー。
資金を提供される会社の立場のメリットやデメリットについてはすでに数回取り上げましたので、今回はメザニンレンダーのビジネスモデルに迫りたいと思います。
さて、メザニンレンダーはどのようにして投資を回収しているのでしょうか。
《執筆者》
PEファンド・M&Aアドバイザリーの実務経験があるSOGOTCHA(ソガッチャ)スタッフが執筆しました。
メザニンファイナンスとは
念のため、メザニンファイナンスについておさらいしておきます。
よくわかっているよ!という方は、次に進んでください。
メザニンファイナンスは、負債と純資産の間に位置し、ミドルリスク・ミドルリターンの特徴を持つファイナンスのことです。
1階部分にあたる純資産と、2階部分にあたる負債の間にあることから、中二階を意味するメザニンと呼ばれます。
なお、【図解】メザニンファイナンスとは?シニア・メザニン・エクイティの違いで詳しく解説していますので、まずはこちらの記事をご覧ください。
▽関連動画:メザニンファイナンスって??/メザニン(1)【M&Aのプロが解説!】
メザニンの3つの投資回収方法
メザニンファイナンスを提供するメザニンレンダー。
以前、【図解】メザニンレンダーが得る4つのリターン|キャッシュとPIKの組み合わせの記事で、メザニンレンダーがどのようなリターン(利息や配当に当たる部分)を得るのかということをご紹介しました。
今回は、いわゆる元本の回収方法について、詳しく見ていこうと思います。
メザニンの投資回収方法は、大きく次の3つです。
- 約定通りの返済・償還
- リファイナンスによる早期返済・償還
- トレードセールによる回収
もしかしたら、「約定通りの返済・償還」というのが一番に思い浮かぶかもしれません。
しかし、この方法が用いられるのは稀です。
多くの場合は、リファイナンスやトレードセールによって回収を図ります。
それでは、個々の回収方法について深堀していきましょう。
約定通りの返済・償還
通常、メザニンの返済・償還期限は、シニアローン完済の半年から1年後に設定されます。
この当初の想定通り、劣後ローンの返済や優先株式の償還が行われるケースも、勿論あります。
しかし実際は、後述のリファイナンスやトレードセールによって回収されるケースが多く、当初の返済・償還期限までメザニンが残っているケースはあまりありません。
その主な理由は、資金提供を受けている会社にとっては、メザニンはコストが高いため早く返済したいから。
このため、メザニンレンダーも早期償還の可能性を織り込んで、メザニンファイナンスの諸条件を設定することになります。
リファイナンスによる早期返済・償還
メザニンは、ミドルリスク・ミドルリターンのファイナンスです。(詳しくはこちらを見てね!)
すなわち、資金提供を受けている会社にとって、シニアローンに比べるとコスト負担が大きくのしかかります。
このため、その会社自身やエクイティスポンサーは、より低コストのシニアローンでリファイナンス(借り換え)したいと考えます。
そこで、メザニン調達から一定期間が経過した後、シニアローンの返済が進展し、追加の調達余力が生まれたタイミングで低コストシニアローンを調達し、高コストのメザニンを返済・償還します。
上述の通り、シニアによるリファイナンスを通じてメザニンが回収されるケースは多いです。
トレードセールによる回収
最後に、トレードセールによる回収についてご紹介します。
トレードセールとは、メザニンをM&Aによって第三者へ売却すること。
メザニンの返済・償還期限より前に、エクイティスポンサーが普通株式を次の買い手に譲渡することによってExitする場合、同じタイミングでメザニンも次の買い手に譲渡することで、メザニンレンダーの投資額を回収する方法です。
M&Aによりエクイティスポンサーから普通株式を取得した次の買い手は、コストの高いメザニンを残しておくことに抵抗を感じるのが一般的です。
このため次の買い手は、普通株式だけでなく、メザニンも合わせて取得します。
取得後、メザニンを返済・償還等することで、会社からの資金流出をストップさせるのが狙いです。
▽関連動画:メザニンレンダーの3つのExitパターン【投資回収】
まとめ
さて、今回はメザニンレンダーにスポットライトを当て、どのように元本の回収を図るのかということについてご紹介しました。