投資ファンドの仕組みを解説!ファンドの利益はどこから生まれるのか

投資ファンドの仕組みを解説!ファンドの利益はどこから生まれるのか

投資ファンドの仕組みを解説!ファンドの利益はどこから生まれるのか

投資信託やM&Aのニュースなどで登場する投資ファンド。

実際にどのようなビジネスモデルになっているのか、分かりやすく解説しました。

《執筆者》

PEファンド・M&Aアドバイザリーの実務経験があるSOGOTCHA(ソガッチャ)スタッフが執筆しました。

ファンドとは

ファンドとは

ファンドとは、投資家から預かったお金を少し増やして投資家に返すという仕組みのことです。

ファンドのビジネスの流れ

ファンドのビジネスの流れ

ファンドの仕組みについて順を追って整理すると、次のようになります。

① 投資家から資金を調達する

② 株式や債券、不動産などの資産を取得する(=投資する)

③ 取得した資産を一定期間運用する

④ 投資した資金を回収する(=新たな買い手に資産を売却する)

⑤ 回収した資金を投資家に分配する

なお、ファンドは資金の受け皿に過ぎないというのがポイント。

実際にファンドを運営しているのは、ファンドの運営会社であるジェネラル・パートナー(GP)です。

ファンドの目的

ファンドの目的

ファンドの目的は、上記①で調達した資金より⑤で分配する資金を多くすることで、投資家に利益をもたらすことです。

そのためには、②の投資した資金より、④で多くの回収を得ることが必要です。

この状態を目指し、GPはファンドを運営しています。

その中で、GPは上記③の運用のフェーズにおいて、資産の価値を向上させるために手を加えるなどして、より多くの利益を生み出せるようにしているのです。

▽関連動画:ファンドのビジネスの流れは??/ファンド(2)【M&Aのプロが解説!

ファンドが利益を生み出す理由

ファンドが利益を生み出す理由

投資にはリスクが伴います。

ではなぜ、ファンドはビジネスとして成立する程度には安定して利益を生み出すことができるのでしょうか。(勿論、場合によっては損失を出すこともあります)

端的にいうと、安く買って高く売ることができるからです。

その仕組みを理解するために、ここではM&Aや事業承継の場面で主役となるプライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)を例に考えていきましょう。

《参考》プライベート・エクイティ・ファンドとは

ファンドは、その投資対象によっていくつかの種類に分類できます。

  • 株式ファンド
  • 債権ファンド
  • 不動産ファンド

そして、株式を中心に投資する株式ファンドのうち、非上場株式を中心に投資するファンドをプライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)といいます。

▽関連動画:PEファンド(2)ファンドの中でもM&Aに登場するPEファンドって??【M&Aのプロが解説!】

安く買う

ファンドが利益を生み出す理由(安く買う)

ファンドが利益を生み出せる理由は、安く買って高く売ることができるから。

安く買うとはすなわち、投資をできるだけ小さくするということ。

例えば、会社を売却したいオーナー社長がいて、何らかの理由からその取引を急いでいたとします。

大至急会社を引き継いでくれる相手を探しますが、買い手にとっては大きな買い物ですから、慎重に吟味したいところです。

結果として、売り手が希望するスピードに合わせられる買い手が少なくなるケースが考えられます。

そのようなケースにおいて、M&Aを生業としているPEファンドがそのノウハウを用いて迅速に検討し、その会社を買収できれば、価格競争を避けることができます。

これが、安く買うことができる理由の一例です。

あるいは、売り手となる人がそのPEファンドを信頼し、「会社を任せたい」と言って相対取引としてくれた場合も、(入札とは違って)価格競争を避けることができます。

高く売る

ファンドが利益を生み出す理由(高く売る)

一方、高く売るとはすなわち、回収をできるだけ大きくするということ。

PEファンドの多くは、企業価値の向上を図るバリューアップを得意としています。

投資時点の企業価値より、売却時点の企業価値を高める。

そうすることで、より高い価格での売却を図るということです。

前述した、GPによる資産の価値向上のことです。

バリューアップの方法は様々ですが、例えば、店舗を持っているような業種だったら店舗拡大によって売上高を増加させたり、あるいは業務効率化によるコスト削減を通じて利益率を改善したり。

GPが今まで培ってきたノウハウを活かして、投資した企業をより良くするべく尽力します。

これが、ファンドが利益を生み出すことができる理由です。

なお、PEファンドの場合、ファンドによって「安く買う」と「高く売る」のどちらにウェイトを置いているかが異なります。

例えばバリューアップに自信を持っているファンドの場合は、「高く売る」ことに力点を置いています。

それは、「自分たちが関与すれば、企業価値の向上を通じて、より高く売ることができる」と考えるからです。

よって、買値については多少高くても許容できる場合があります。

逆に「安く買う」ことに注力しているファンドもあります。

このようなファンドの場合、案件発掘(ソーシング)に注力し、相対取引に持ち込める案件を探します。

ファンドもそれぞれプレースタイルが異なるということが言えます。

▽関連動画:PEファンド(3)どうやって利益を得るのか?そのビジネスモデルを考える!【M&Aのプロが解説!】

ファンドの報酬体系

ファンドの報酬体系

さて、先ほどファンドの目的は投資家に利益をもたらすことだと言いました。

とはいえファンドもビジネスですので、ファンドの運用者であるGPも利益を得ないことには事業が続いていきません。

では、GPはどこからどのような利益を得ているのでしょうか?

それは、上記「④投資した資金を回収する」と「⑤回収した資金を投資家に分配する」の間にあります。

すなわち、回収した資金からGPの報酬を控除した上で、投資家に資金を分配しているのです。

こちらも、PEファンドを例に考えてみましょう。

PEファンドのGPが得る報酬は通常2つあります。

  • 管理報酬…PEファンドが預かる資金(投資後は株式などの資産)に対して、一定の料率で支払われる報酬のこと。マネジメントフィーともいう
  • 成功報酬…PEファンドの運営が一定程度成功した際に支払われる報酬のこと。キャリード・インタレストともいう

なお、それぞれの一般的な割合は、管理報酬が2%、成功報酬が20%程度です。

「管理報酬2%、成功報酬20%」の関係から、「two-twenty(2%-20%)」などと呼ばれることもあります。

PEファンドの報酬体系についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、興味のある方はぜひ合わせてご覧ください。

▽関連記事:PEファンドのビジネス(⑦分配) | SoGotcha!(ソガッチャ)

▽関連動画:ファンドによる分配のプロセス【ファンドの報酬の考え方】|PEファンドのビジネスの流れ#7

まとめ

さて、今回はファンドというビジネスがどのように成り立っているのかということについて解説しました。

特にPEファンドについては過去にもいくつか記事を書いているので、ぜひご覧ください。

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