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M&Aにおける会社の値段はどのように決まるのか?
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会社の値段(≒株式の価格)の計算方法として、企業価値評価の考え方があります。
本記事では、この企業価値評価の基本的な考え方をGIFアニメーションを用いて紐解いていきましょう。
ただし、M&Aにおける最終的な取引価格は、売り手と買い手が合意によって決まります。
数字には現れないシナジーが見込まれれば価格が引き上げられることもありますし、あるいは売り手が何らかの条件(急いで取引したい、従業員の雇用を継続してほしい、等)を希望する場合は、その代わりに価格を引き下げても良いという交渉をすることもあります。
本記事で企業価値評価のキホンを押さえた上で、実際の取引においては実情に合わせて売り手と買い手双方で条件をすり合わせることになります。
なお、本記事の内容はこちらの動画でもご覧いただけます。
《執筆者》
PEファンド・M&Aアドバイザリーの実務経験があるSOGOTCHA(ソガッチャ)スタッフが執筆しました。
会社の値段とは
M&Aにおける会社の値段、それは、一般的に株式の価格を指します。
では、株式の価格はどのように決まるのでしょうか?
通常、企業価値評価の考え方に従って算出されます。
企業価値評価の考え方は、簡単に表すと、次の4ステップから成ります。
- 事業価値の算出
- 現預金の加算
- 有利子負債の減算
- 株式価値の算出
以下、この4つのステップについて、GIFアニメーションと共に整理していきましょう。
なお、「〇〇価値」というよく似た言葉で、
- 事業価値
- 企業価値
- 株式価値
という3つの言葉がありますが、それぞれ意味が異なります。
特にM&Aの現場では、これらの言葉は明確に区別されて用いられています。
詳しくは【図解】事業価値・企業価値・株式価値の違いとそれぞれの意味で説明していますので、こちらの記事もあわせてご覧ください。
企業価値評価ステップ1. 事業価値の算出
まず、ステップ1として、DCF法やマルチプル法により、事業価値を算出します。
ここで、一般的に事業価値のことをEV(Enterprise Value)と呼びます。
DCF法やマルチプル法については、それぞれ次の記事で詳しく解説しています。
▽関連記事:【図解】インカムアプローチのDCF法の計算方法【企業価値評価】
▽関連記事:【図解】マーケットアプローチのマルチプル法の計算方法【企業価値評価】
企業価値評価ステップ2. 現預金の加算
次に、ステップ1で算出した事業価値に現預金を加算します。
企業価値評価ステップ3. 有利子負債の減算
続いて、事業価値と現預金の合計額から、有利子負債の金額を控除します。
企業価値評価ステップ4. 株式価値の算出
ステップ1〜3の「事業価値+現預金−有利子負債」の計算結果として、株式価値が算出されます。
以上が、企業価値評価の考え方に基づく株式価値の算出方法です。
企業価値評価の4つのステップ
これらのステップを、よりシンプルにまとめると、以上の通り整理されます。
これが、M&Aにおける企業価値評価・株式価値評価の基本的な考え方です。
売り手の価格イメージとのギャップ
以上のように、企業価値評価の考え方によって株式価値(会社の値段)を計算することができます。
これに対し、売り手は、自分の会社(ひいては自らが保有する会社の株式)について、何かしらの価格イメージを持っているケースが多いです。
例えば、以下のようなケースがあります。
- 純資産を基準に考えるケース
- 取得時の簿価を基準に考えるケース
- 同業の取引価格を基準に考えるケース
これらのような目線を売り手が持っている場合、買い手の提示価格が売り手の目線と大きく異なる場合があります。
このような場合、買い手と売り手は、M&Aを実施するために双方の価格目線をすり合わせる必要があります。
まとめ
さて、今回は会社の値段を計算する4つのステップについて紹介しました。
なお、本記事の内容はこちらの動画でもご覧いただけます。
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