地銀のDX戦略|②横浜銀行(コンコルディアFG)

地銀のDX戦略|②横浜銀行(コンコルディアFG)

地銀のDX戦略|②横浜銀行(コンコルディアFG)

本シリーズでは、地方銀行各行のDX戦略について、分析・解説します。

第1回目の千葉銀行に続き、第2回目は、横浜銀行(コンコルディア・フィナンシャルグループ)のDX戦略についてです。

《執筆者》
曽我 義光/株式会社マーブル 取締役
ソフトウェア開発エンジニアを経て、外資系証券会社の不動産ファンド部門にてソフトウェア開発責任者として開発全体を統括。その後、投資ファンド運営会社でIT部門の責任者を担当し、情報分析サービスのシステム開発PM業務に従事。2020年株式会社マーブルに参画。

DX戦略の方針

横浜銀行のDX戦略は、2020年12月の「コンコルディア・フィナンシャルグループ IR Day」の資料にて、「デジタル戦略(サービス&事務改革)」としてまとめられています。

本資料によると、横浜銀行のDX戦略の方針は、次のようにまとめられます。

  • DX戦略の方針
    • 業務のデジタルトランスフォーメーション
      • 業務プロセスの改革
      • 業務付加価値の向上
    • ビジネスモデルのデジタルトランスフォーメーション
      • 新規事業・イノベーションの創出
      • 顧客体験の革新

以下では、横浜銀行(コンコルディア・フィナンシャルグループ)の具体的なDX戦略について整理します。

DX施策のマッピング

本シリーズでは、各行のDX戦略の具体的施策(DX施策)の位置付けについて、こちらの軸に沿って整理しています。

  • 縦軸:PLへの影響
    DX施策の目的や効果について、「売上高の増加」「コストの削減」「その両方」というPL面における定量的な軸に沿って整理します。
    • 縦軸①売上高増加
    • 縦軸②売上高増加かつコスト削減
    • 縦軸③コスト削減
  • 横軸:ターゲット
    DX施策のターゲットについて、「顧客」「銀行(自行)」「その両方」という定性的な軸に沿って整理します。
    • 横軸①顧客
    • 横軸②顧客かつ銀行
    • 横軸③銀行
地銀のDX戦略_横浜銀行_001

これらの軸に沿って、横浜銀行(コンコルディア・フィナンシャルグループ)のDX施策を整理したものがこちらになります。

以下、個別のDX施策について、重要度が高いと思われるものをピックアップして説明します。なお、本記事で取り上げていない施策については、前述の「コンコルディア・フィナンシャルグループ IR Day」にて詳細をご確認ください。

  • 統合型デジタルマーケティング
    • 概要:
      オムニチャネルにおける行動情報の収集に基づき、以下の3つの施策を柱としてデジタルマーケティングを推進するとのことです。
      • データ統合…次世代マーケティングシステムの構築
      • データ分析…浜銀総研のデータサイエンティストによる顧客行動の可視化
      • UX改善
    • 売上高増加:
      顧客情報の収集・分析に基づいた最適なソリューション提案が実現されることで、売上高の増加につながるものと考えられます。
  • アプリ
    • 概要:
      はまぎんアプリは現在約50万人に利用されている主要チャネルであり、2023年3月期には利用者100万人という目標を掲げています。
      CX向上を目指し、随時機能を追加していくとのことです。
    • 売上高増加:
      データ収集・分析に基づくソリューション提案の最適化やOne to One マーケティングによるロイヤリティの向上により、売上高の増加につながるものと考えられます。
    • コスト削減:
      非対面取引の増加に伴う事務作業の削減や店舗来店の減少により、業務時間の削減や店舗人員の減少などのコスト削減が図れるものと考えられます。
  • 法人ポータル
    • 概要:
      2020年1月から開始された法人ポータルは、法人取引のメインチャネルとして、以下の機能を提供するものとされています。
      • 非対面サービス…ソリューションの提供
      • 非対面取引… オンラインレンディング(ウェブ完結取引)による効率化
      • 対面・非対面の融合…利便性向上による顧客とのコミュニケーションの深化
    • 売上高増加:
      法人ポータルを通じたソリューション提供やオンラインレンディングなど、顧客の利便性向上やサービス提供時間の短縮を実現することで、売上高の増加につながるものと考えられます。
    • コスト削減:
      ウェブ完結による事務作業の削減や非対面の増加による店舗人員の削減など、事務コストの削減につながるものと推察されます。
  • キャッシュレス・決済ビジネス
    • 概要:
      はまPayでの支払いにより、キャッシュレス化に対応。加盟店は2019年から2020年で約9倍に増加と、決済ツールとしての利便性を向上しつつあります。
    • 売上高増加:
      顧客の決済データの収集によるカスタマージャーニーの把握・分析に基づき、最適なソリューションを提供することで、売上高の増加につながるものと考えます。
    • コスト削減:
      キャッシュレス化の進展に伴い、同行が中期経営計画の施策のひとつとして掲げる現金ハンドリングコストの低下につながるものと推察されます。
  • AI・RPA
    • 概要:
      業務プロセスの見直しに加え、AI・RPAを活用することで、業務時間の削減し、本部人員の抑制・業務の多能化や現場運営への注力を図るとのことです。
      より具体的には、判断を伴う業務はAIによる1次スクリーニング、判断を伴わない定英業務はRPAによる効率化を図るとのことです。
    • コスト削減:
      AI・RPAの活用による業務プロセスの改善を通じた事務コストの削減が見込まれます。

まとめ:DX戦略の全体像

地銀のDX戦略_横浜銀行_002

最後にまとめです。本記事では、横浜銀行(コンコルディア・フィナンシャルグループ)のDX戦略の目的及び具体的なDX施策について整理しました。DX戦略の全体像は、上図の通り整理できます。

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