地銀のDX戦略|①千葉銀行

地銀のDX戦略|①千葉銀行

地銀のDX戦略|①千葉銀行

本シリーズでは、地方銀行各行のDX戦略について、分析・解説します。

第1回目は、千葉銀行のDX戦略についてです。

《執筆者》
曽我 義光/株式会社マーブル 取締役
ソフトウェア開発エンジニアを経て、外資系証券会社の不動産ファンド部門にてソフトウェア開発責任者として開発全体を統括。その後、投資ファンド運営会社でIT部門の責任者を担当し、情報分析サービスのシステム開発PM業務に従事。2020年株式会社マーブルに参画。

DX戦略の方針

千葉銀行のDX戦略は、2021年4月6日付「DX戦略の強化・新本店ビル」という説明資料にて非常に分かりやすく解説されています。

本資料によると、DX戦略の方針として、以下のようなものが掲げられています。

  • CXの向上(CX:カスタマーエクスペリエンス)
  • 生産性の向上
  • 銀行そのものの変革(デジタルバンク化)

以下では、千葉銀行の具体的なDX戦略について整理します。

DX施策のマッピング

DX戦略の具体的施策(DX施策)の位置付けについて、こちらの軸に沿って整理します。

  • 縦軸:PLへの影響
    DX施策の目的や効果について、「売上高の増加」「コストの削減」「その両方」というPL面における定量的な軸に沿って整理します。
    • 縦軸①売上高増加
    • 縦軸②売上高増加かつコスト削減
    • 縦軸③コスト削減
  • 横軸:ターゲット
    DX施策のターゲットについて、「顧客」「銀行(自行)」「その両方」という定性的な軸に沿って整理します。
    • 横軸①顧客
    • 横軸②顧客かつ銀行
    • 横軸③銀行
地銀のDX戦略_千葉銀行_001

これらの軸に沿って、千葉銀行のDX施策を整理したものがこちらになります。

以下、個別のDX施策について、重要度が高いと思われるものをピックアップして説明します。なお、本記事で取り上げていない施策については、前述の「DX戦略の強化・新本店ビル」にて詳細をご確認ください。

  • アプリ
    • 概要:
      「最高のアプリ」を掲げ、同行の中核チャネルとすべく、2020年4月のリニューアル以降、各機能が追加されています。
      新型コロナウイルスの拡大を背景に非対面ニーズが増加していることから、2023年3月期には、個人顧客との接点の70%超をアプリ経由とすることを目標に掲げています。
    • 売上高増加:
      非対面ニーズの増加を取り込むことで、既存顧客の維持や新規顧客の取り込みなどにより、売上高の増加につながるものと推察されます。
    • コスト削減:
      非対面ニーズの増加に伴う店舗来訪者の減少により、店舗人員のスリム化が図られ、コスト削減につながるものと推察されます。
  • 法人ポータル
    • 概要:
      「最高の法人ポータル」を掲げ、2021年4月より「ちばぎんビジネスポータル」としてサービスを開始しています。
      顧客・営業担当者間でのチャットや経営情報、残高・入出金明細などの機能は実装済であり、今後はウェブ会議やスケジュール共有なども予定されています。
    • 売上高増加:
      非対面ニーズの取込や迅速な営業対応により、顧客ニーズの早期把握や取りこぼしの回避を実現できるものと考えられます。
    • コスト削減:
      残高・入出金明細や今後予定されているデジタル通帳などの金融サービスのデジタル化により行員の対応負担を低減し、事務コスト(ひいては人件費)の負担低減につながるものと推察されます。
  • データ一元化
    • 概要:
      銀行内・銀行外の顧客情報が「いつでも」「欲しいものが」「欲しい形で」得られるデータ検索システムについて、2021年7月からの運用が予定されています。
      顧客ごとのパーソナライズされた情報に基づくデータ分析の高度化などが企図されています。
    • 売上高増加:
      パーソナライズ化された情報に基づき、顧客に最適なソリューションが提供されることで、売上高の増加につながるものと考えられます。
    • コスト削減:
      データベースの充実やデータ検索の効率化により、事務コスト(ひいては人件費)の負担低減につながるものと考えられます。
  • 業務効率化(印鑑・ペーパーゼロ)
    • 概要:
      銀行内で発生する「紙と印鑑の使用」をゼロにすることを目標としています。それにより、行員を「定型的作業」「判断業務」「仕事の場所的制約」から解放することを企図しています。
    • コスト削減:
      印鑑・ペーパーレス化の実現により、紙・印刷コストや物理的管理コストの削減、また、業務効率化による人件費負担の低減を実現できるものと推察されます。
  • オンラインレンディング
    • 概要:
      非対面取引の拡充による顧客の利便性向上や銀行の業務効率化が企図されています。具体的には、住宅ローンのウェブ完結化や無担保ローンの受付・仮審査のRPA化などが挙げられます。
    • 売上高増加:
      ウェブ完結化により、顧客の利便性や手軽さが向上し、積極的なローン利用による売上高の増加につながるものと推察されます。
    • コスト削減:
      各種ローンのウェブ完結化により、ペーパーレス化や行員の業務負担の軽減など、事務コストの削減につながるものと考えられます。
  • 組織再編・DX人材
    • 概要:
      グループ全体のDX施策を統括するデジタル改革部を新設という組織再編に加え、DX人材の育成・確保などの人事戦略など、組織・人事面からも「DXによる銀行そのものの変革」を進めています。
    • 売上高増加・コスト削減:
      DX人材の育成・確保や組織的なDXの推進は、上述のDX戦略全般の実行力・実現力に大きく影響するものと考えられます。このため、各DX施策を通じた銀行全体としての売上高増加、及びコスト削減の両面に寄与するものと考えられます。

まとめ:DX戦略の全体像

地銀のDX戦略_千葉銀行_002

最後にまとめです。本記事では、千葉銀行のDX戦略の目的及び具体的なDX施策について整理しました。DX戦略の全体像は、上図の通り整理できます。

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