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M&Aでは、その取引の過程において法務の専門知識が必要になる場面があります。
例えば、買収監査(デューディリジェンス)を実施するとき。
あるいは、契約書を締結するとき。
本記事では、売り手・買い手双方の(顧問)弁護士の役割について解説します。
なお、M&Aに登場する関係者の全体像については【図解】M&Aの当事者とそれを取り巻く関係者の役割とはで詳しく取り上げていますので、まずはこちらを読んでから本記事に進むのがおすすめです。
また、本記事の内容はこちらの動画でもご覧いただけます。
《執筆者》
PEファンド・M&Aアドバイザリーの実務経験があるSOGOTCHA(ソガッチャ)スタッフが執筆しました。
M&Aにおける(顧問)弁護士の役割は?
M&Aは会社(より正確には株式や事業)を取引対象としており、通常、金額が相応の規模になることから、その売買に際しては契約書が作成・締結されます。
また、M&A取引に先立つデューディリジェンス(DD)のタイミングで、売り手側は、買い手側のDD専門家から法務面での専門的な質問を受けるケースがあります。
このような場面で、売り手・買い手の(顧問)弁護士は、それぞれのクライアントのため、M&A取引を法務面からサポートします。
以下、その具体的な役割につき検討していきましょう。
売り手側の(顧問)弁護士
売り手側の(顧問)弁護士は、売り手側のM&Aの検討・実施に際し、
- M&Aスキームの法務面についてのアドバイス
- 基本合意書・最終契約書のドキュメンテーション及びレビュー
- 買い手のデューディリジェンスへの対応のサポート
などを実施します。
これらを次の2つに整理して、これらの内容につき個別に検討していきましょう。
- M&Aスキームやドキュメンテーションのサポート
- 買い手のデューディリジェンス(DD)への対応のサポート
M&Aスキームの法的検討やドキュメンテーション
まず、売り手の(顧問)弁護士の役割として、M&Aスキームの法的検討が挙げられます。
各スキームの実施に際して必要となる機関決定や法廷待機期間の確認など、各スキームを適切に実施するための法的手続を検討します。
また、M&Aのプロセスの中で、基本合意書や最終契約書などの作成・締結が必要になる場面があります。
売り手側の(顧問)弁護士は、売り手側をサポートし、これら基本合意書・契約書などの作成やレビューを行います。
このような各種契約書の作成・レビューなどを通称ドキュメンテーションといいます。
買い手のデューディリジェンス(DD)への対応のサポート
売り手側の(顧問)弁護士は、買い手が実施するデューディリジェンス(DD)に際しては、DDに対応する売り手・対象会社をサポートします。
買い手側のDD専門家の質問内容が法的に専門的なものになることも多く、売り手や対象会社だけでは回答が難しい場合などにおいて、売り手側の(顧問)弁護士は、これらの回答をサポートすることになります。
買い手側の(顧問)弁護士
次に、買い手側の(顧問)弁護士の役割につき、検討します。
M&Aにおける買い手側の(顧問)弁護士の主な役割は、M&Aスキームの法務面の検討や各種契約書の作成・レビュー(ドキュメンテーション)です。
以下では、その具体的な内容を検討します。
M&Aスキームの法的検討やドキュメンテーション
買い手側の(顧問)弁護士は、買い手のためにM&Aスキームについての法的検討や各種契約書類のドキュメンテーションを実施します。
M&Aスキームの検討例としては、
- 予定しているM&Aスキームで必要となる機関決定(株主総会決議や取締役会決議)や法定待機期間の確認
- 各スキームの比較・検討によるスピード感や柔軟性の検証
などです。
また、ドキュメンテーションについては、まずは売り手か買い手のいずれかの側で1stドラフトを作成し、双方の追加・修正のやり取りを経て、ファイナル版を作成します。
なお、買い手側によるデューディリジェンスにおいては、法務DDは通常弁護士が担当しますが、この役割については別途DD専門家の記事で取り扱うため、本記事では対象外とします。
まとめ
さて、今回はM&Aにおける(顧問)弁護士の役割について取り上げました。
なお、本記事の内容はこちらの動画でもご覧いただけます。
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