紀陽銀行の人材戦略|ソリューション・DX・経営企画・本部専門人材

紀陽銀行の人材戦略|ソリューション・DX・経営企画・本部専門人材

紀陽銀行の人材戦略|ソリューション・DX・経営企画・本部専門人材

この記事では、紀陽銀行の2024年3月策定の中期経営計画統合報告書などを基に、同行の人材戦略にフォーカスして整理しています。

同行の人材戦略のポイントは、以下の通りです。

・経営戦略と連動・融合した人材戦略(人事戦略)の策定

・主な強化対象は、ソリューション営業人材、DX人材、経営戦略企画・本部専門人材、戦略系グループ会社人材

・ソリューション営業人材は、「量」(=人材数)及び「質」(=1人当たり付加価値)の両面から増強

・DX人材は、3段階(DXサポーター、DXコア人材、DXスペシャリスト)で育成

以下、詳しく見ていきます。

経営戦略と人材戦略の融合

経営戦略と人材戦略の融合

(出所:「中期経営計画」)

紀陽銀行は、長期ビジョン「お客さまとの価値共創と企業変革への挑戦を続け、人が未来を創造する地域金融グループとなる」、及び目標指標「ROE8%以上」を実現するため、経営戦略と人材戦略(人事戦略)の融合を図っています。すなわち、「中小企業取引を起点としたビジネスモデル」という経営戦略を実現するため、人材戦略(人事戦略)において「Be ”CHANGE”」(自ら変化する、変化をよむ、変化をつくる、変化をつなぐ)を「求める人材像」として掲げています。

具体的な人材戦略の施策として、以下のようなものが挙げられています。

人材ポートフォリオ

・目指す人材ポートフォリオ構築

・ソリューション営業人材への人的資本投資

ダイバーシティ&インクルージョン

・中途採用者の活躍推進

・女性の活躍推進

・高年齢者の活躍推進

アップスキリング/リスキリング

・スキル向上に向けた自律的な学び支援

・多様な学びの機会提供

エンゲージメント

・主体性が発揮できる環境整備

・挑戦を後押しする企業風土の醸成

・自律的なキャリア実現機会の提供

時間や場所にとらわれない働き方

・働きやすい職場環境の整備

・柔軟な働き方の推進

・時差勤務、在宅勤務等の環境整備

人材ポートフォリオ

人材ポートフォリオ

(出所:「中期経営計画」)

紀陽銀行は、長期的に目指す人材ポートフォリオとして、以下のような人材を掲げています。(2022年度と2032年度の数字)

・ソリューション営業人材 519→620人(+101人、+19%)

・経営戦略企画人材 36→70人(+34人、+94%)

・本部専門人材 60→90人(+30人、+50%)

・戦略系グループ会社 261→330人(+69人、+26%)

・DX人材 372→1,500人(+1,128人、+403%)

ソリューション営業人材

ソリューション営業人材

(出所:「中期経営計画」)

紀陽銀行は、「中小企業取引を起点としたビジネスモデル」の実現に向け、直接顧客と接し、付加価値(ソリューション)を提供する「ソリューション営業人材」の増強を図っています。

上図のように、同行は「本業支援人的資本ROI(=顧客向けサービス業務利益÷人的資本投資)」を2032年度に1.00倍とすべく、特に分子の「顧客向けサービス業務利益」の拡大を図っています。その具体的施策として、以下の2点が挙げられています。

ソリューション営業人材の増員

第1に、ソリューション営業人材の増員、すなわち「量」の確保です。2022年度519人の人員を2032年度に620人(+101人、+19%)まで増加させる計画です。具体的には、DX・BPR推進による事務人員の再配置や即戦力人材の中途採用による人材確保、並びに新任担当者向けの研修充実やリーダー層のマネジメントスキル向上などのリスキリングにより、ソリューション営業人材の増加を図っています。

本業付加価値/ソリューション営業人材

第2に、ソリューション営業人材1人当たりの付加価値の増加、すなわち「質」の向上です。2022年度83百万円の1人当たり本業付加価値を2032年度に93百万円まで増加させる計画です。具体的には、思考力強化コンテンツ拡充や資格取得支援、情報連携高度化などのアップスキリング、並びに顧客管理高度化、AI業務サポート体制、エンゲージメント向上などの環境整備を掲げています。

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このようなソリューション営業人材の「量」及び「質」の向上は、横浜銀行(コンコルディアフィナンシャルグループ)も掲げています。詳細はこちらの記事をご参照ください。

DX人材

DX人材

(出所:「中期経営計画」)

同行は、同行グループのDX文化を醸成し、経営戦略の実現や地元企業・地域のDXによる課題解決に資する人材ポートフォリオの構築を目指し、DX人材について2022年度372人から2032年度1,500人(+1,128人、+403%)への増強を図っています。

DX人材については、以下の3段階の人材の育成に努めています。

DXサポーター(500人):ITや課題解決の基本知識を有する人材。

DXコア人材(950人):ITや課題解決の基本知識を有し、担当業務でDXを推進できる人材。

DXスペシャリスト(50人):ITや企業経営に関する高い専門性を有し、DXに向けて組織をリードできる人材。

経営戦略企画人材

紀陽銀行は、経営戦略企画人材について、2022年度36人から2023年度70人(+34人、+94%)への増強を掲げています。

なお、経営戦略企画人材は「長期ビジョン実現に向けた経営戦略の企画・立案、及び新たな収益ドライバーを創出する人材」であり、「タレントマネジメントによる企画セクションへの計画的な配置」により、中長期的に企画人材を安定的に確保する計画です。

本部専門人材

紀陽銀行は、本部専門人材について、2022年度60人から2032年度90人(+30人、+50%)への増強を掲げています。なお、本部専門人材は「ソリューション営業人材を支援する人材」です。

まとめ

最後にまとめです。この記事では、紀陽銀行の人材戦略にフォーカスして整理しました。同行の人材戦略のポイントは、以下の通りです。

・長期ビジョン「お客さまとの価値共創と企業変革への挑戦を続け、人が未来を創造する地域金融グループとなる」、及び目標指標「ROE8%以上」を実現すべく、経営戦略と人材戦略(人事戦略)の融合を図っている

・人材戦略における主な強化対象は、ソリューション営業人材、DX人材、経営戦略企画、本部専門人材、戦略系グループ会社人材

・ソリューション営業人材は、「量」及び「質」の両面から増強。「量=人員数」は人材確保やリスキリング、「質=一人当たり付加価値」はアップスキリングや環境整備を通じた確保・向上を企図。

・DX人材は、DXの基礎知識を有するDXサポーター、DX業務を推進できるDXコア人材、組織的なDXを推進できるDXスペシャリストの3段階で育成

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