伊予銀行の人材戦略|営業コンサル人員の増強

伊予銀行の人材戦略|営業コンサル人員の増強

伊予銀行の人材戦略|営業コンサル人員の増強

この記事では、伊予銀行(いよぎんホールディングス)の中期経営計画などを基に、同行の人材戦略にフォーカスして整理しています。

同行の人材戦略のポイントは、以下の通りです。

・事業ポートフォリオと連動した人材ポートフォリオの再構築

・法人コンサル・個人コンサル・新規事業を担う営業コンサル人材1,000人体制の計画

・営業コンサル人材の拡大は、量・質の両面からアプローチ

・レジリエンス戦略として、人的資本経営の観点から人材育成と職場環境整備に注力

・ベーススキルアップのため、継続的に研修時間・費用を捻出

以下、詳しく見ていきます。(同行の資料では「人財」という表記が用いられていますが、本記事では他記事と表記を合わせる観点から「人材」となっている点、ご容赦ください)

事業ポートフォリオと再構築

事業ポートフォリオと再構築

(出所:同行中期経営計画

伊予銀行は、今後10年で上図のような事業ポートフォリオの組み替えを目指しています。全体として図の右側(横軸:収益性の高い方)へシフトしており、「稼ぐ力」の底上げによる収益力の向上を図っています。

特に「法人貸出金」「法人ソリューション」の右側シフトが大きく、これら2事業での大幅な収益力向上を企図していることが分かります。各事業の具体的な方向性は、以下の通りです。

法人貸出金(除く船舶)

・地域を支える攻めのリスクテイク

・資金需要が旺盛なエリアへのアセット投入

法人ソリューション

・高度金融、事業承継・M&A・ウェルスアドバイザリー、リースを軸に役務収益を強化

人材ポートフォリオの再構築

人材ポートフォリオの再構築

(出所:同行中期経営計画

事業ポートフォリオの変化に合わせ、人材ポートフォリオの再構築も図られています。特に営業コンサル人材の増強に主眼が置かれており、各分野で以下の増員が予定されています。

・法人コンサル:466→600名程度(+60名)

・個人コンサル:305→340名程度(+35名)

・新規事業分野:0→60名程度(+60名)

営業コンサル人材の「量」「質」

営業コンサル人材の「量」「質」

(出所:同行中期経営計画

同行は、人材ポートフォリオの組み替えに際し、顧客に価値提供できる人材の「量」の確保、及び「質」の向上を企図しています。

「量」の確保

人材ポートフォリオの再構築に伴い、営業コンサル人材を「771→1,000名」に増員予定です。人材の確保手段としては、以下の3つが想定されています。

内部調達

事務分野、ミドルバックからの配置転換や育成人材枠、リスキリングなど

外部調達

新卒・キャリア採用、外部人材との協働、M&Aによる人材確保など

ポートフォリオ見直し

内部調達・スキル向上を志向しつつ、状況に応じて機動的な人材配置を実施

「質」の向上

営業コンサル人材の「質」の向上策として、大きく3つ挙げられています。

人材育成体系の見直し

・育成体系の高度化:法人・個人コンサル人材の育成・リスキリング

・若手職員の早期戦力化:研修・OJT体系の見直し

自律型人材の育成

・キャリア形成:1on1ミーティング

・キャリアマネジメント支援:キャリア関連研修・施策の実施

・意識改革・態勢拡充:自律的な学びの支援

スキルセット

・スキル定義・明確化:必要スキルの定義と不足スキルの特定

・社内資格認定制度:法人コンサル新設、個人コンサル改訂

・タレントマネジメントシステム:導入

——

このような人材に関する「量」「質」のアプローチは、ソリューション人材の強化を図っている横浜銀行の人材戦略でも見られます。

人材育成とエンゲージメント

人材育成とエンゲージメント

(出所:同行中期経営計画

伊予銀行は、レジリエンス戦略として、人的資本の拡充を通じて「強靭」な人材及び組織の構築を目指しています。レジリエンス戦略を支える人的資本経営の軸として、人材育成社内環境整備の2つが挙げられています。

人材育成

同行の人材戦略は事業ポートフォリオの再構築に連動したものですが、育成対象の人材としては、営業コンサル人材を中心に5タイプの人材が挙げられています。

営業コンサル人材

コンサル(法人・個人)・新規事業分野で1,000名体制の営業コンサル人材を計画しています。必要スキルの明確化、社内認定要件の整備、育成・リスキリング、タレントマネジメントシステムの活用などが予定されています。

マーケット人材

スキルマップを活用した人材育成が計画されています。

シップファイナンス人材

外部・海外事業所への派遣やトレーニーなどによる母集団の形成・増強が計画されています。

テクノロジー人材

ITスキル保有者の育成や次期基幹系システム開発による人材育成が計画されています。

プランニング(デジタルビジネス)人材

候補人材の発掘から実働人材の育成、職種別リーダーの育成が予定されています。

社内環境整備

人材育成と並び、Well-Being実現のため、社内環境整備が図られています。具体的な施策として、大きく4つ挙げられています。

採用・配置・評価

採用の多様化や希望・努力による配置、定着化・離職防止への取組など、最適な人材の確保・活躍のための施策が計画されています。

DE&I

女性管理職育成や男性育児休暇取得など、年齢・性別を問わず活躍できる環境整備が進められています。

働き方改革

働き方改革運動やファイナンシャルウェルネスを通じ、働きがいのある職場環境の整備に努めています。

健康経営

グループ一体での健康管理や40歳以上の人間ドック義務化など、ポピュレーションアプローチ/ハイリスクアプローチを通じた健康経営が進められています。

人材育成の取組み(ベーススキルアップ)

人材育成の取組み(ベーススキルアップ)

(出所:同行ホームページ

伊予銀行は、各従業員がそれぞれの強みを作り、得意分野を伸ばし、全員がコンサルティング集団となるべく、ベーススキルの向上を図っています。その柱として、次の3つが挙げられています。

①得意分野を持つ人材の育成

②自律的に学ぶ環境の整備

③キャリアの多様化への対応

また、ベーススキル向上のため、人材育成のための金額・時間的な投資が継続的に行われており、2022年度は従業員一人当たり研修関連費用189千円、研修時間52.6時間となっています。

まとめ

最後にまとめです。この記事では、伊予銀行の中期経営計画などを基に、同行の人材戦略にフォーカスして整理しました。

同行の人材戦略のポイントは、以下の通りです。

・事業ポートフォリオと連動した人材ポートフォリオの再構築。特に、法人貸出金・法人ソリューションの2事業での収益力強化が計画されており、それらを担う営業コンサル人員の拡充が焦点

・法人コンサル・個人コンサル・新規事業を担う営業コンサル人材は、1,000人体制となることを計画

・営業コンサル人材の拡大は、内部・外部調達双方による「量」の確保、及びリスキリングやキャリアマネジメントを通じた「質」の向上の両面からアプローチ

・レジリエンス戦略として、人的資本経営の観点から人材育成と職場環境整備に注力

・ベーススキルアップのため、継続的に研修時間・費用を捻出

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