事業譲渡における競業避止義務とは?

事業譲渡における競業避止義務とは?

事業譲渡では、売り手に競業避止義務という義務が課されるのが一般的です。

これは、事業譲渡後の一定期間、その事業と同じビジネスを行わないでくださいね、という約束事です。

事業を譲り渡した後のビジョンを色々と考えている方にとって、競業避止義務はきちんと押させておきたいポイントです。

《執筆者》

PEファンド・M&Aアドバイザリーの実務経験があるSoGotcha!(ソガッチャ)スタッフが執筆しました。

事業譲渡とは

まず、事業譲渡とはどのようなM&Aスキームかということを簡単に整理しておきましょう。

事業譲渡とは、売り手から買い手に対し、事業を譲渡することです。

M&Aの代表的なスキームの1つですね。

同様に株式譲渡もM&Aの代表的なスキームですが、それと比較すると事業譲渡の特徴がよくわかると思います。

株式譲渡と事業譲渡

なお、株式譲渡と事業譲渡の違いについては【図解】株式譲渡とは?事業譲渡との違いやメリットデメリットで詳しく取り上げています。

競業避止義務とは

競業避止義務とは

それでは改めて、競業避止義務について考えていきましょう。

競業避止義務の定義

競業避止義務とは、M&Aの売り手は譲渡した事業と同じビジネスを一定期間行わないでくださいね、というものです。

期間は原則20年間ですが、特約で延長したり短縮したりすることができます。

なお、延長は最長で30年間までです。

ちなみに、会社法には次のように記載されています。(執筆時点)

(譲渡会社の競業の禁止)

第二十一条 事業を譲渡した会社(以下この章において「譲渡会社」という。)は、当事者の別段の意思表示がない限り、同一の市町村(特別区を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、区又は総合区。以下この項において同じ。)の区域内及びこれに隣接する市町村の区域内においては、その事業を譲渡した日から二十年間は、同一の事業を行ってはならない。

2 譲渡会社が同一の事業を行わない旨の特約をした場合には、その特約は、その事業を譲渡した日から三十年の期間内に限り、その効力を有する。

3 前二項の規定にかかわらず、譲渡会社は、不正の競争の目的をもって同一の事業を行ってはならない。

e-Gov 会社法第二十一条

競業避止義務が課される理由

競業避止義務が課される理由

競業避止義務が課される理由は、買い手の保護のためです。

売り手が事業を譲渡した後すぐにまた同じビジネスを行うと、買い手と競合してしまいますよね。

いくら事業譲渡で資産を手放したとしてもノウハウなどは残っていますから、脅威的な競合相手となる可能性があります。

買い手としては、さらなる成長や事業拡大などのためにせっかく事業を取得したのに、その目的を十分に達成できない恐れが出てきます。

そのため、M&Aの最終契約である事業譲渡契約にて、売り手に一定の競業避止義務が課されるのが一般的です。

競業避止義務の排除は可能?

競業避止義務は排除可能か

先述の通り、事業譲渡においては会社法で競業避止義務が定められています。

その期間は原則20年間ですが、最長30年間として延長や短縮が可能ということにも触れました。

加えて、事業譲渡契約で別途定めることで、排除することもできます。

ただし、実務上は一定の競業避止義務を買い手から求められるケースがほとんどです。

そして、その期間は5〜10年が一般的です。

この記事を読んでいるあなたが売り手の立場で、もし事業譲渡後に「競合はしないが、譲渡対象事業の周辺ビジネス」をやりたいと考えている場合、後々の誤解やトラブルを避けるために、そのビジネスについては競業避止義務の対象外として除いておくことをおススメします。

あるいは読者の方が買い手だった場合は、競業避止義務を規定しておくのが賢明でしょう。

特に売り手が凄腕の経営者だった場合は同じビジネスをされるととても困るので、きちんと規定しておきましょう。

一方、事業譲渡と同じくM&Aの代表的なスキームである株式譲渡では、会社法による定めはありません。

しかし、実務上は買い手からの求めによって、競業避止義務が課されるのが一般的です。

こちらも、実際は5〜10年が一般的で、株式譲渡契約書で規定します。

★この内容を動画でチェック!

株式譲渡と事業譲渡の比較!(17)競業避止義務の違いは??【M&Aのプロが解説!】

まとめ

今回は、競業避止義務について簡単に解説させていただきました。

事業譲渡後のさらなる飛躍を期待したいですね!

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