目次
この記事では、北陸銀行及び北海道銀行(ほくほくフィナンシャルグループ)の中期経営計画やIR資料などを基に、同行の人材戦略にフォーカスして整理しています。
同行の人材戦略のポイントは、以下の通りです。
・人材戦略は長期ビジョンの下、主に3つの柱、6つの施策を通じて具体化されている
・経営戦略を担う必要人材として「DX人材」「コンサル人材」「SX人材」の3つを定義し、目標人数を設定
・人材育成には、eラーニングやリスキリングツールなどにより自律的学習を支援し、また外部派遣によりプロ人材を育成
・イノベーション創出や社内環境整備の観点から、採用強化・女性活躍など4つの施策を実施
以下、詳しく見ていきます。
人材戦略の全体像
(出所:IR資料)
ほくほくFGは、「課題解決を通じて地域・お客さまとともに持続的成長を実現する」という長期ビジョンを掲げ、それを実現するための人的資本経営取組方針「地域・取引先をつなぎ価値創造の原動力となるひとづくり」を設定しています。
同社の人的資本経営は「A. 経営戦略を体現する自律的人材の継続的創出」「B. イノベーションを生み出す多様な人材の活躍(DE&I)」「C. 挑戦と成長を促し、能力を最大限引き出す環境の整備」の3つを柱とし、その下に「人材育成及び社内環境整備に関する方針」が規定されています。
それらの下で、6つの施策「必要人材の明確化」「人材育成」「採用強化」「女性活躍」「ウェルビーイング実現」「挑戦する風土」が設定されています。
以下、それぞれについて詳しく見ていきます。
人材戦略|3つの課題・3つの柱・基本方針
3つの課題(As is)
ほくほくFGは、人材戦略における課題を3つの観点から整理しています。
・必要人材の確保:少子高齢化の進展等による新卒採用の難化や、雇用の流動化による若手職員の離職もあり、職員数は減少傾向
・必要人材の育成:重点戦略実現のための必要人材の定義、人員数の把握や研修体系の整備等が十分でない状況
・組織風土:多様化する価値観や働き方への対応、自律的人材育成に向けた仕組みや企業風土醸成の環境整備が十分でない
3つの柱(To be)
同社は、上述の3つの課題に対応すべく、人的資本経営の3つの柱を設定し、それぞれ2つずつ具体的な施策を設定しています。
A. 経営戦略を体現する自律的人材の継続的創出
・施策A1. 必要人材の明確化
・施策A2. 人材育成
B. イノベーションを生み出す多様な人材の活躍(DE&I)
・施策B1. 採用強化
・施策B2. 女性活躍
C. 挑戦と成長を促し、能力を最大限引き出す環境の整備」
・施策C1. ウェルビーイング実現
・施策C2. 挑戦する風土
人材育成・社内環境整備の基本方針
人的資本経営における3つの柱を具体化するため、人材育成及び社内環境整備に関する2つの基本方針を設定しています。
・人材育成:お客さまとともに価値創造の好循環を生み出し、地域の持続的な成長に貢献できる人材の育成
・社内環境整備:多様な人材が、働き甲斐を感じながら、自身の価値の向上に自律的に取り組んでいくことのできる環境の整備
施策A1. 必要人材の明確化
(出所:IR資料)
ここからは、ほくほくFGの人材戦略における具体的な施策について見ていきます。まず、第1の柱「経営戦略を体現する自律的人材の継続的創出」の施策である「必要人材の明確化」です。同社は、戦略を実現するために必要な人材を定義し、目標人数を設定しています。
DX人材
コア人材:IT・デジタルを活用し、経営戦略を立案。牽引できる人材
ミドル人材:DXの各施策を推進できる人材
コンサル人材
コア人材:専門的な知識を駆使し、企画や提案ができる人材
ミドル人材:顧客ニーズに沿ったソリューション提案ができる人材
SX人材
コア人材:地域・顧客・自社の脱炭素経営実現に向け、企画ができる人材
ミドル人材:顧客の脱炭素ニーズに対し、包括的なアドバイスができる人材
施策A2. 人材育成
(出所:IR資料)
第1の柱「経営戦略を体現する自律的人材の継続的創出」の第2の施策は「人材育成」です。
自律的な学び・リスキリングのサポート強化
自己啓発支援のeラーニングやリスキリングツールを導入。業務への活用に加え、自身の学びたい分野の知見を深めることで、自己成長やキャリア実現を支援できる仕組みを構築。
外部派遣によるプロ人材の育成
高度な専門知識の習得や実務能力、経営感覚の醸成、人脈の形成などを目的として、公募による外部派遣を積極的に実施
施策B1. 採用強化
人材戦略の第2の柱「イノベーションを生み出す多様な人材の活躍」の第1の施策は「採用強化」です。
採用ホームページの刷新やSNS・CMなど多様なチャネルを活用した情報発信の強化、また、採用担当者の増員によるプロ人材やアルムナイ(卒業生)のキャリア採用の強化を行っています。
施策B2. 女性活躍
人材戦略の第2の柱「イノベーションを生み出す多様な人材の活躍」の第2の施策は「女性活躍」です。
ワークライフバランスの実現やキャリアアドバイザーの設置、復職サポートの充実による女性活躍の推進、また、コース転換や行員登用等各種制度の充実による多様な人材が活躍できる環境整備に努めています。
施策C1. ウェルビーイング実現
人材戦略の第3の柱「挑戦と成長を促し、能力を最大限引き出す環境の整備」の第1の施策は「ウェルビーイング実現」です。
ライフイベントに応じた各種休暇制度の整備などによるワークライフバランスの充実、また、健康経営優良法人認定の取得などによる健康経営の推進に努めています。
施策C2. 挑戦する風土
人材戦略の第3の柱「挑戦と成長を促し、能力を最大限引き出す環境の整備」の第2の施策は「挑戦する風土」です。
社員が働きがいを持って活躍 できる自律的なキャリアデザインを組織として後押しするため、公募制度を導入し、自ら手を挙げる組織風土の醸成を図っています。
まとめ
この記事では、北陸銀行及び北海道銀行(ほくほくフィナンシャルグループ)の人材戦略にフォーカスして整理しました。両行の人材戦略のポイントは、以下の通りです。
・人材戦略は長期ビジョンの下、「A. 経営戦略を体現する自律的人材の継続的創出」「B. イノベーションを生み出す多様な人材の活躍(DE&I)」「C. 挑戦と成長を促し、能力を最大限引き出す環境の整備」の3つを柱としている
・それぞれの柱に2つの施策、合計6つの施策が立案・実行されている
・施策A1. 必要人材の明確化:経営戦略を担う必要人材として「DX人材」「コンサル人材」「SX人材」の3つを定義し、目標人数を設定
・施策A2. 人材育成:eラーニングやリスキリングツールなどにより自律的学習を支援し、また外部派遣によりプロ人材を育成
・施策B1. 採用強化:情報発信の強化やキャリア採用の強化により、多様な人材の確保に努めている
・施策B2. 女性活躍:ワークライフバランスの実現やコース転換・行員登用制度などの整備により、多様な人材が活躍し活力ある組織風土の醸成を推進
・施策C1. ウェルビーイングの実現:ワークライフバランスや健康経営を推進
・施策C2. 挑戦する風土:公募型ジョブチャレンジなど自ら手を挙げる組織風土の醸成を推進