静岡銀行の人材育成戦略|価値創造・課題解決・デジタル人材

静岡銀行の人材育成戦略|価値創造・課題解決・デジタル人材

静岡銀行の人材育成戦略|価値創造・課題解決・デジタル人材

この記事では、静岡銀行(しずおかフィナンシャルグループ)の人材戦略及び人的資本経営の取り組みを基に、同行の人材育成戦略にフォーカスして整理しています。

同行の人材育成戦略のポイントは、以下の通りです。

・同行の人材育成は経営戦略と連動しており、各戦略に対応した3タイプの人材が育成されている

・3タイプの人材は、それぞれ「価値創造型人材」「課題解決型人材」「デジタル型人材」

・一人当たり教育研修費用は、2年で2倍以上

・次世代経営幹部育成のためのリーダー教育も強化

以下、詳しく見ていきます。(同行の資料では「人財」という表記が用いられていますが、本記事では他記事と表記を合わせる観点から「人材」となっている点、ご容赦ください)

経営戦略と人材戦略の連動

経営戦略と人材戦略の連動

(出所:同行統合報告書2023

静岡銀行は、経営戦略と人材戦略の連動を掲げています。同行は、「未来へつなぐ新たな価値を創造する課題解決型企業グループ」を中計ビジョンとし、それを実現するための経営戦略として「地域共創戦略」「グループビジネス戦略」「トランスフォーメーション戦略」「グループガバナンス戦略」の4つを策定しています。同行の人事戦略は、これらの経営戦略の実現確度を高めるものとして立案されています。

各経営戦略の概要は以下の通りです。

・地域共創戦略:課題解決を通じて地域(経営基盤)を活性化し、収益機会も広げる

・グループビジネス戦略:「地域・お客様の社会的課題・ニーズ」をグループ機能により徹底的に解決

・トランスフォーメーション戦略:「顧客接点」「営業」「人材」「経費」の変革に取り組み、経営資源を捻出し、トップラインの拡大につなげる

・グループガバナンス戦略:持株会社体制下での企業統治体制を高度化、グループシナジーとスピード経営を促進

なお、経営戦略と人材戦略の連動は、同行以外にも横浜銀行(ソリューション・カンパニー実現のためのソリューション人材の育成)などで明示的に掲げられています。

経営戦略の担い手となる人材タイプ

経営戦略の担い手となる人材タイプ

(出所:同行統合報告書2023

静岡銀行は、経営戦略として掲げた「地域共創戦略」「グループビジネス戦略」「トランスフォーメーション戦略」のそれぞれを担い手として、「価値創造型人材」「課題解決型人材」「デジタル人材」の3タイプの人材を掲げています。

価値創造型人材

専門知識やネットワークを活かし、従来のコアビジネスには無い、新しい価値創造を実現できる人材です。地域競争戦略を担うことが期待され、2027年度450名の人材計画が立てられています。

IT・DX支援、医療・健康、脱炭素、ウェルスビジネス、ベンチャーの5つが育成分野として挙げられています。

課題解決型人材

顧客の課題に寄り添い、従来のコアビジネスを中心とした、課題解決ができる人材です。グループビジネス戦略を担うことが期待され、2027年度800名の人材計画が立てられています。従来型の営業人材は、大半が課題解決型人材に分類されます。

具体的な活躍テーマとして、ファイナンス、資産運用、事業承継、M&A、相続、人材派遣など、銀行のコアビジネスにおけるソリューション業務が挙げられています。

デジタル人材

テクノロジーを活用し、業務の深化や事業開発に活用できる人材です。トランスフォーメーション戦略を担うことが期待されており、2027年度100名の人材計画が立てられています。

具体的な活躍テーマとして、アプリ開発、経費削減、マーケティング、データ活用、ナレッジ共有、拠点数最適化などが挙げられています。

教育研修への取り組み

教育研修への取り組み

(出所:同行統合報告書2023

静岡銀行では、役職員が自発的にキャリア形成できる環境を整えています。対面型・オンラインそれぞれでリカレントやリスキリングの機会を提供すべく、研修時間や研修費用を増加させています。

特に、一人当たり研修費は「2020年度32.2千円→2022年度69.2千円」と2年で倍以上に増額されています。

次世代リーダーの育成

次世代リーダーの育成

(出所:同行統合報告書2023

静岡銀行は、将来の経営幹部を育てるべく、ビジョンを創造できるリーダーの教育を体系化し、計画的な人材育成を行っています。具体的な育成カリキュラムとして、「階層別研修」「OJT」「実務経験」「他流試合」が挙げられています。

「階層別研修」では、リーダー教育の最上位となる「エグゼクティブアカデミー」を新たに設置し、リベラルアーツ、ガバナンス、エシカルなどをテーマにリーダーとしての基軸の形成や経営感覚の醸成を図っています。

また「他流試合」では、ビジネススクールや異業種交流など、社外の人材との交流を通じ、役職員の自律と挑戦、また新たな人脈形成と「視座と知」を高める機会を提供しています。

自律的なキャリア形成

静岡銀行では、従業員一人ひとりが同行で成し遂げたい夢の実現に向けて、自身のキャリアを自ら考えデザインするキャリア自立に向けた取り組みを行っています。

マイキャリア・デザイン制度

マイキャリアデザインシートに自身の目指すべき姿やその実現に向けた希望職種などを記載し、必要となるスキルや経験を可視化します。それを通じて、個々の役職員による自律的なキャリア形成を支援します。

メンター・アンカー制度

若年層の定着率向上に向けたフォロー強化及びキャリア形成支援を目的に、メンター・アンカー制度が導入されています。

メンターは入社1〜2年目、アンカーは3〜4年目の若手を対象に、実務指導やキャリア相談を通じた成長マインドの醸成を支援することが期待されています。

バリューアップ制度

個々の役職員が自ら企画した能力開発に関する取組みを金銭的に支援する制度です。自分自身のキャリア開発に対する「考え」「行動する」能力の工場とともに、幅広い知識・視座の習得による資質向上を図っています。バリューアップ制度の具体的な支援内容として、ビジネススクール、プログラミングスクール、資格スクール、語学スクールなどが挙げられます。

ミートアップ制度

企業・行政などが主催する異業種交流会や地域イベント、勉強会などへの参加費用を一部支援する制度です。外部企業などと接し、日常業務では得られない考え方や情報から多角的視野を養い、人間力の向上、人脈の形成、取引先との関係強化などにつなげます。ミートアップ制度の具体例として、ワインの最新トレンドセミナー、地域の歴史を学ぶイベント、釣り教室(町おこし)などが挙げられます。

まとめ

最後にまとめです。本記事では、静岡銀行の人材戦略の内、主に人材育成に関する項目を取り上げました。

ポイントとして、以下の点が挙げられます。

・同行の人材育成は経営戦略と連動しており、「地域共創戦略」「グループビジネス戦略」「トランスフォーメーション戦略」それぞれに対応した3タイプの人材が育成されている

・3タイプの人材は、「価値創造型人材」「課題解決型人材」「デジタル型人材」

・一人当たり教育研修費用は、2年で2倍以上に増加

・次世代経営幹部育成のためのリーダー教育も強化し、階層別研修最上位としてエグゼクティブアカデミーの新設や他流試合(ビジネススクールや異業種交流会)の実施を推進

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